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第192話
アリスは無言で「コイツを何とかして」と僕に訴えかけてくるが、僕にはどうにも出来ない。
とりあえずアリスは仕事の時間もあるし、仕事に行ってもらって、慎太郎さんには家に上がってもらった。
部屋に入るなり「おぉー!」という歓声を上げてくるくると回りながら部屋の様子を見ている。 子どもみたいだなぁ。
「今お茶を入れるので、適当に座ってください」
「あ、お構いなく!」
僕はお茶っ葉を出して、湯を沸かして急須に入れる。
慎太郎さんはソファに座るなり、また「おぉ!!」という歓声を上げてソファに座ったり立ったりしている。
この人を観察するの結構楽しいかも。
「どうぞ。 緑茶です」
「ありがとう! ねぇねぇ、このソファすっごいフワッフワだね! 俺のベッドより柔らかいよ!」
「確かAliceブランドの商品だったような…。 それより、慎太郎さんはどうしてここに?」
慎太郎さんは無邪気だ。
そこまで褒められたら、ソファも嬉しいだろう。 きっとこう言う人を虜にしてAliceブランドは発展して行くんだろうな、と思った。
そして本題は「なぜ慎太郎さんがここにいるか」だ。
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