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第193話
緑茶を一口飲んで、出た言葉が
「成宮に聞いたら、意外と俺の家と近かったから!」
だった。
成宮さん!!! 絶対面倒くさいと思って僕たちに押し付けたな!?
と言うか、僕の質問の答えになってないというか…なんと言うか…
困っていると、さっきまで元気にはしゃいでいた慎太郎さんの表情が暗くなって、俯いて話し始めた。
「…遊園地でタクって奴居ただろ? 覚えてる?」
「あ、はい…」
「あいつがさ、…浮気、してるかもしれないんだよね…」
今にも消え入りそうな声で、ポロポロと涙をこぼしながら呟いた。
突然泣くものだからびっくりして、慌ててティッシュで目元を拭いた。 擦ると赤くなるので優しく、丁寧に。
慎太郎さんの綺麗なお顔を傷つけては拓真さんがきっと怒るのだろう。
たぶん家に来た理由は、一緒に居たくないから、なのだろうな。
それにしても、拓真さんが浮気なんてするだろうか。 慎太郎さんの事を一番大切に思ってそうな印象だったけれど…
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