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第198話

そんな事を考えていると、玄関のチャイムがなった。 結構、いや、かなり着くの早くないかな? まだ15分ぐらいしか経ってないと思うんだけど。 「はい、拓真さん、お久しぶりです」 「久しぶり。 ごめんな、シンが迷惑かけて」 「いえ、大丈夫です」 とりあえず部屋の中に入ってもらって、慎太郎さんを起こしてもらう。 僕が起こしても、拓真さんが起こしても、全然起きない。 相当深い眠りについているのだろう。 「仕方ないから、抱っこして帰るか」 「あはは、慎太郎さん起きたらびっくりするでしょうね」 「それを楽しみに頑張って抱っこするか」 「…ん……、え、なに…?」 慎太郎さんを抱っこした瞬間に、目を覚ました。 まだ寝起きでポワポワしているその姿は子どもみたいで、少し可愛く思えた。 「起きた、シンが会いたいって言うから会いに来たよ」 「え?! タク?! てか、俺会いたいとか言ってねぇし!」 「本当に?寂しくないの? 俺は寂しかったけど」 そんな事を言われて、顔を真っ赤にしてあわあわとしている慎太郎さん。 「でも、お前……」

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