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「大丈夫だよ。もしダメだって言われたら、その時は二人で暮らそう。誰も俺たちを知らない土地に行って、二人だけで生活しよう」 「なにそれ?駆け落ちみたい」 「駆け落ちだよ」 僕は冗談で言ったつもりだったんだけど、アリスは本気の目をしていた。 そんなのダメだよ…と思うと同時に、それもちょっと良いかも、なんて思ってしまった。 本当に駆け落ちはしないけれど、アリスはそれくらい僕の事を思ってくれているという事だ。 そう思うと、胸がキュンとなる。アリスの事が好きで好きで堪らない。 「どうしよう、キュンキュンする…!」 「駆け落ちでキュンキュンするの?」 「違うよ! 駆け落ちしてもいいくらい僕の事を思ってくれてるんだと思ったら嬉しくて!」 そう説明すると、アリスは「あぁ」と納得していた。 「当たり前でしょ?だって大好きなんだもん」 「…えへへ。 僕も好き」 「やばい、めっちゃ可愛い。そんな事言ったら我慢出来なるなる」 「へ?」 ただ、僕も好きだと伝えただけなのに、可愛いと言われ、我慢できないと言われ、そして今押し倒されている。 いや、待って!流石にここではダメだよ! だってここは外で、海の近くだ。無人島で僕たちしかいないとは言えども、船で近くを通る人がいるかもしれない。 そんなの見られたくない。

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