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第21話
「待って。そんな顔で帰せる訳ないでしょ。俺が送っていく」
「.........」
涙でベタベタな顔を濡れハンカチで拭いたあと、食器を片付けてから手を引いて玄関を出た。
泣いてるユキちゃんを無理やり家に置いていても、これって拉致監禁になるんじゃ...?と思い、一旦家に返してあげることにした。
「家どこ?」
「...〇〇区の赤色のマンション」
「あぁ、あそこか。結構いいところに住んでるんだね」
「......てんちょ...知り合いが借りてくれてる...」
ふーん。やっぱり店長が関わってくるんだ。
前に店に行った時店長が出迎えてくれたが...顔があやふやだな...
たしか30代前半で、ヤクザっぽくてうちの秘書に似てるな~と思ったんだっけ。
まぁ風俗はヘンな客が多いと聞くし、それくらい怖い感じじゃないとやっていけないんだろう。
もうマンションは目の前というところで、ユキちゃんが足を止めた。
俺の腕を痛いほど握りしめて震えている。
「ユキちゃん?」
「あの人...昨日の......なんで、家知って...」
涙目で震える手で指さした先には、昨日ユキちゃんに暴行した客が立っていた。
まるで誰かを探すかのように、キョロキョロしていて、その目は血走っている。
すぐに危険だと感じた。
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