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第23話

赤 赤い... 視界いっぱいに広がる赤。 僕の目の前にいる人...アリスは真っ赤に染まっていた。 僕を庇って... 僕なんかを庇ってアリスは... 崩れる彼を受け止めようとしたが、僕も一緒になって崩れたがそんなの気にしてるヒマなんてない。 どうしよう、血がたくさん出てきた... 涙が溢れてきて視界がボヤける。 どうすればいいのか分からず、アリスの名前ばかり呼んでいた。 血の気が引いて、とても怖かった。 「ゆき、ちゃ...!後ろ!」 そう言われ、後ろを振り返ると男がナイフを高く上げていた。その動きがやけにスローに見えた。 刺される覚悟で目を瞑った瞬間、警察が男を取り押さえてた。 それに安心したのか、アリスは意識を失ってしまった。 このまま眠って目を覚ましてくれなかったらどうしよう... そう思って、アリスの名前を必死に呼んだのに、アリスは目を開けてくれなかった。 何も出来ずに泣いていると、救急隊員の人が駆け寄ってきた。 「大丈夫?急いで病院に行くよ。君は彼の友達?付き添いお願いしてもいい?」 「はい」 病院に向かう時、手はずっと繋いだままだったけど、どんどん冷たくなってくる彼の体温が恐怖を駆り立てた。 死なないで...。

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