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第60話

店の扉の鍵を開け、看板を出す為に外に出ると、開店前なのに珍しく待ってる人がいた。 「お、やっと開いたか。あと少し遅れたら遅刻する所だったぜ」 そこに立っていたのは、金髪オールバックで明らかにヤバそうな人だった。 「...借金の取り立て...?」 「お前失礼だな」 軽く僕にチョップをしてから、わしゃわしゃと頭を撫でられた。てか撫で方雑っ!髪の毛グシャグシャになったんだけど!? その人は僕なんてお構い無しに店に入っていった。 「なるちゃん久しぶり~」 「おう、仕事が一段落ついたから久しぶりきてみたが、やっぱり雰囲気いいな、ここ。あ、いつものコーヒーくれる?」 店主の村田さんと親しいという事は常連客なのだろう。 僕は朝しか入らないから1度も見たことないけど... 「このちっせーの失礼なんだぜ?俺をみるなり「借金の取り立ての人」とか言い出すしよぉ」 「うっ...それは...」 「まぁ君の見た目ならそう思われても仕方無いんじゃないかなぁ?」 「失礼な。これでも社長秘書だぜ。どうだ?」 ドヤ顔で僕を見る。 確かに驚いた。こんなヤクザみたいな見た目なのに社長秘書だなんて...。 人は見かけに寄らないんだなぁ...

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