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第1話

 僕の仕事は門番です。  屋敷の主人は僕に言いました。 末の娘はまもなく十四 行く先決めるお年頃。 見目麗しければ良かったものの、至極普通な見目形。 せめて良縁を掴ませたいと 知恵を絞るが親心。 闇夜に紛れ 夜這いに出向く 高貴な方を捕まえて  子を孕ませて 嫁に遣る。 なかなかに良い作戦だ。 なあに闇夜だ、良いべべ着せて香でも炊けば 黙っていればご令嬢。 そこで門番、お前の仕事だ。 宵の口には外に立て。  ギシギシ鳴るような牛車は素通し 門の中には入れてはならぬ。 錦の御旗の牛車が来たら、上手にやって止まらせろ。 宵の遊びを好む御仁は 雅で粋でご酔狂。 その日の伽のお相手を 牛に任せる御仁も多い。 我が家の門で牛が止まれば その夜はうちで夜を明かす。 娘の相手をお前に託す。麗しき方を呼び止めよ。  だから、日が沈む前から、門の表で立っている。  牛車の脚は 所詮ウシ。   止めたい時は好物の塩を、ここぞとばかりに門前に盛る。  見覚えのある金色の牛車が、角を曲がってこちらへ向かって来たのが遠くに見えた。  大本命の接近に、しめた!とばかりに、たんまりと塩を盛り上げた。

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