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番外編 懐かしき頃 第3話

※※※※※ 「っぃあ、アァアーーっ!!」 朔の嬌声が上がる。それと同時に、密着している朔の股間部分がじわりと熱くなるのを、明は感じた。 「ふっ…おまへは、すぐイッちゃうな」 首筋に噛みつきながら、明は言う。  すっかり朔の体は変わった。 14年前は苦痛しかなかったこの行為に、朔は快感を得ている。食事に呼ぶだけで体は期待し、首筋を舐めれば勃起し、感度が良い日は噛むだけで絶頂を迎えてしまう。 (―――俺が、この体にしたんだ)  食事をする度に、朔の体を触って、気持ちいいところを探った。頭の先から足の先まで、全て触って少しでも反応する場所を見つけた。特に感じるのは、耳の裏、背骨、左の太股。乳首も左側の方が、気持ちよさそうに身を捩るので、どうやら朔は体の左側が弱いようだった。未開発だったところも、何度も触っていくことで朔の体は全身が性感帯のようになっていった。  朔の体のことは、朔よりも知っているのではないか、とさえ思ってしまう。 「あ、明ぁ…っ、ンぅ」 「朔…っ、うまい」  朔の血の味だって、自分は知っている。朔は「…不味い」と言うが、明にはまるで熟成されたワインのように美味しい。年を重ねるごとに濃密になり、明を酔わせていく。 アルコールよりももっと強い―――麻薬のような危険さを伴って。 「ひぁっあっあっんく、ぁあっ」 朔の尻に、思い切り当てながら腰をぶつける。その度に、朔の口から悲鳴じみた声が上がった。前立腺に当たるように、切っ先を腹側に向けて打ち付ける。 「あぁああっ!!ア―――ッアァアッ!!」 ガクガクガクッと朔の体が、明の上で派手に痙攣した。肉壁もぎゅうっと凶暴なまでに締まり、絶頂を迎えたことが分かる。しかし、朔のペニスは透明な先走りを零しているだけだった。後ろだけで達したようだ。 「ン――ぅ、んんん――っ」 後ろだけで達すると暫く快楽の余韻が残るらしく、耐えるように朔が唇を噛んだ。それを見て明は口元を歪めると、まだ締め付けている肉壁をこじ開けるように腰の動きを再開した。 「っ―――ひぁあっっ!!あっ、ぃ、イッ!イッてる、あっあぁあっイッて、ぅくっ」 「くっ…知ってるよ。すげぇナカうねってる…っ」 「やっアッ、あっあ゛あぁっひぃうっああ゛、あ゛ぁ―――っ!!」 喋ることもままならず、ただ意味のない声を上げながら朔は、明から与えられるモノを全て―――拗れた執着も含めて、受け入れようとしていた。 「っ――く、っ」  明は眉間に皺を寄せて呻くと、朔のナカに白濁を零した。それと同時に朔も泣きながら、明の顔に飛ぶほど射精した。口元に飛んだ精液を明は戸惑いもなく、舌先で舐め取る。 「ぁ――…あ、ぁ…っ」 ガクンと体の力が抜けた朔を、明はしっかり抱き寄せた。朔の後頭部に腕を回して、伸ばした指先で朔の耳の裏を撫でる。 「朔…気持ちよかった…?」 わざと、分かりきったことを問いかける。 「……ん…」 失血による体力の消耗と連続絶頂による気怠さにぐったりとして何も言えず、ただ目だけで朔は頷いた。その姿に満足そうに明は微笑み、目尻に流れる涙を舐め取る。その内、力尽きたように朔は眠ってしまった。   どうせ、何も変わらない運命なら、朔が痛くないように。 ―――朔のために、朔を変えていく。 「朔…」 強い意志を持って、明は囁いた。 END

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