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Dawning Kiss side A 3 ※
「そうか?」
ユウが苦笑しながら、ケーキを丁寧に切り分け、お皿に乗せてくれた。
フォークで掬って口の中に入れると、軽い食感の生クリームとスポンジが舌の上でふわりと溶けていく。
こうして準備をしてくれていたことを考えると、胸の中が温かくなる。
家を飛び出してユウのところへと逃げ込んでから、半年が経つ。
ようやくこの時が来た。
長いようで短かった僕の準備期間は、ここで終わりを告げようとしていた。
「ユウは食べないの?」
お皿とフォークは一組しかない。ユウはかぶりを振りながら答える。
「甘いものはあまり好きじゃない。アスカが食べたいだけ食べればいい」
「そんなの駄目だよ」
穏やかな微笑みを浮かべながら、ユウは僕が食べるのをじっと見つめている。
淡い光に照らされて、鳶色の双眸は美しく揺らめく。
その瞳を見ると、どうしても僕はサキのことを思い出してしまう。
一年前の誕生日は、サキがお祝いをしてくれた。そのときのことが脳裏に浮かぶ。まだ鮮明な記憶に、胸が痛みを覚えた。
当時はまだサキの病気がわかっていなかった。幸せを当たり前のように享受していたあの頃、僕たちはずっと一緒にいられると信じていた。
六歳の差は時にもどかしく、早くサキに追いつきたい、大人になりたいと切実に願っていた。
けれど、もうそんな心配はいらない。このまま生きていれば、僕はサキの年齢を超えてしまう。
サキは永遠に二十五歳のままだ。
「……ユウ」
一切れのケーキを食べ終えて残ったのは、誕生日プレート。
その薄いホワイトチョコレートをフォークでそっと掬いながら、僕は唇を開く。
「一緒に食べて」
口元まで持ってきたプレートをそっと咥えてユウに顔を近づければ、形のよい唇が開いた。僕たちはチョコレートを手繰り寄せるように唇を合わせる。
互いの口の中で溶かすように舌を絡ませれば、ねっとりと甘い味が口いっぱいに広がった。
唾液を交換しながら味わっていくと、このまま融けてしまいそうな気がした。
「抱いてほしい……」
唇を離して願いを口にすれば、ユウは目を開けて僕を優しく見つめながらまた口づける。
キスを繰り返すうちに、甘みは次第に薄まっていく。
ソファから腰を上げてユウの手をそっと引くと、立ち上がってからまた深く唇が重ねられた。
──気のせいだろうか。目が合ったとき、ユウが少しだけ淋しい瞳をしていたのは。
「あぁ、ん……ッ」
与えられる快楽に身じろぐ度に、ベッドのスプリングがしなやかに軋む。
奥の弱い部分を何度も指で擦られて、僕の先端はひっきりなしに雫を垂らしていた。
身体の奥から熱を最大限に引き出すような愛撫に、何度も浮かされてはより深いところへと沈んでいく。
「ユウ……」
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