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Calling Kiss 2 ※
「……ヒナ」
甘くて少し低い声に背筋が震える。顔も背格好も似てる。だけど、それだけじゃなくて声まで似てる気がした。
「ベッドに行こう」
「あんまり、よくなかった?」
不安になってそう尋ねる俺に、神崎さんは目を細めて笑う。
「気持ちいいよ。でもヒナの声が聞きたいんだ」
ドキリと心臓が大きな音を立てて鳴った。妙に恥ずかしくなって、俯いてしまう。
この一ヶ月、こんなことの繰り返しでもう慣れたはずだ。なのに、俺は一体どうしちゃったんだろう。
バスルームを出て、二人でベッドに腰掛ける。視線のやり場に困って足下を見ていると、低い囁きが耳元を甘く刺激した。
「ヒナ、こっちを向いて」
顔を上げた途端、神崎さんの顔が近づいてきて唇が重なった。
その顔がすごくきれいで、俺は目を開けたままキスを続けた。
口を開けると、舌が入ってきて絡まる。歯列を丁寧になぞられて、身体の奥がぶるりと震えた。口の中を優しく刺激しながら動く舌の感触が、最高に気持ちいい。
『陽向』
なぜかあいつの声が聞こえた気がして、びくりと下肢が反応する。
「……ん、ぅ……っ」
息継ぎの合間にこぼれた唾液を、神崎さんの指が掬う。
「……は……っ」
「ヒナ、いい顔するね」
名残惜しく唇を離して、俺は息をついた。涙目になってることに気づく。
「神崎さん」
初めて会った人に、本気で甘えた声を出していた。
「気持ちよく、して」
俺はベッドボードに置いていたローションを手に取って、蓋を開ける。
その大きな手を取って、長い指にたっぷりと塗り込んでいく。
「俺、前じゃイけなくて……だから、後ろに」
まだ触れられてもないのに、身体はもうどうしようもなく火照ってる。このローションのひんやりとした温度は、きっとちょうどいい。
「後ろに、何?」
優しい声で意地悪に聞き返されて、ゾクゾクと背筋を快感が昇っていった。
「……後ろに、神崎さんの指を、挿れて……ください」
語尾が消えてしまいそうなぐらい小さくなった。
「膝で立ってごらん」
言われたとおり、ベッドに膝立ちして神崎さんと向かい合う。
神崎さんは抱きつくように俺の背中に手を回して、そっと後孔に触れた。
「あ……ぁ……っ」
円を描くように撫で回されて、反射的に声が漏れる。
こんな些細な刺激が気持ちいい。早く、あの快楽が欲しくて堪らない。
「ヒナ。腰、揺れてるよ」
「や……っ」
長い指が少しずつ進入してくる。待ち侘びていた感覚に、それだけで達してしまいそうだ。
「あ……ッ、神崎、さ……あぁっ!」
急に内壁を擦るように掻き混ぜられて、甲高い声をあげてしまう。
「ヒナ、かわいいね」
そう言って、唇を塞がれる。口の中を深く混ぜるようなキスに、飲み込み切れない唾液がまたこぼれて顎を伝っていく。
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