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追試と学生服_5

 汗と精でべとべとな身体を洗う為、蒼真を抱き上げて風呂へと連れて行く。  だが、すぐに熱は冷めきれず、背中に口づけをしながら何度も抜き差し絡み合う。  欲を放ち、やっと落ち着いて、重い体を湯船に沈めほうっとため息をつく。 「あー、しんど」  流石に腰にきた。風呂の中で腰を叩くと、寄り掛かるように前に座っていた蒼真が振り返る。 「大丈夫ですか?」 「あぁん? 大丈夫なわけねーだろ。アラフォー舐めんな」 「なんですか、それ」  くすくすと笑い声をあげる蒼真に、背中に額をくっつけてぐりぐりと動かす。 「後で湿布を貼ってあげますね」 「なんだよ、マッサージしてくれるとかじゃねぇの?」 「駄目です。流石に今日はもう無理ですから」  マッサージ後の展開を読んだか、この野郎と額を軽く叩く。 「ふふ。お風呂の後は安静にしてましょうね」 「しょうがねぇな。お前を抱き枕がわりにして横になるとすっかな」  ふわりと笑う、その笑顔に吸い寄せられるように顔が近づく。 「ん、ふ……」  再び唇が触れあい、風呂の中で水音と息遣いが響き渡る。  幸せでたまらない。ずっとこのまま触れ合っていたい。  そんなことをぼんやりと思いながら、唇を離して蒼真を抱き上げる。  これ以上、風呂の中でいちゃついていたら湯あたりしてしまう。  それでなくとも、蒼真といると熱が上がるのだから。  首に腕を回して顔を胸のあたりに埋める蒼真。ほんのりと染まる体が色っぽい。  脱衣所で一旦、蒼真をおろし体を拭く。自分は寝間着を着て蒼真はバスタオルで包み込む。 「言っておくけど、追試が合格するまで補習は続くからなっ」 「え?」  もう終わったものとばかり思っていたのだろう。目を瞬かせている蒼真に香椎は口角をあげ、 「今度はブレザーを手に入れてくるわ」  と言えば、やめてくださいと真剣な表情でいわれてしまう。  そんな蒼真を眺め、香椎は楽しそうに笑い始めた。 【了】

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