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真実の愛
鳥のさえずりで目が覚めた。そこは志麻のベットの上だった。
「…寝てたんだ」
目の前には、仰向けで寝ている志麻の姿が。その横顔は、幼い寝顔をしていて、あの夜の激しさの面影はなかった。
「良かった。夢じゃなかった」
そう呟くと。
「んんっ」
一度寝返りをうち、志麻が目を覚ました。
僕はとっさに、志麻に背を向け寝たフリをした。あんな事があった後に、どんな顔したら良いのか分かんないよ。
すると志麻は、僕の頭を優しく撫でた。
そして、あることが気になった。志麻は本当に僕のことが好きなのだろうか。あの時の彼と同様で、友達ごっこをしているだけなのかもしれない。あの夜は遊びだったのかもしれない。
「ねぇ志麻」
横になったまま僕は志麻に問いかけた。
「なんだ、起きてたのか」
僕は正座し、志麻と目を合わせ。
「志麻は本当に僕の事、好き?」
すると、志麻も正座をして。
「当たり前だろ、じゃなきゃこんな事しねぇよ。安心しろ、俺は陸の事本気で愛してるぞ」
真っ直ぐした目を見て。嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、志麻を信じようと思った。
「ありがとう」
「当たり前だろ。てか、なに泣いてんだよ」
「えっ」
気が付くと、涙が溢れていた。
「…実はね、前イジメを受けて。だからアザが…。それで、ある同級生に助けてあげるって言われて、でもそれは嘘で、本当はみんなで僕を騙して、影で笑ってたんだ。それを問い詰めたら、えっちなことされて。だから、彼みたいに志麻も僕のことを騙してるんじゃないかって、影で笑ってるんじゃないかって、思って。」
勇気を出して志麻に伝えた。涙をこらえながら。いや、こらえきれなかったが。
「…そうだったのか。でも俺はそんな最低野郎じゃねぇよ。本気の本気で陸の友達だし、これからは、陸の彼氏として生きたいし」
「志麻…」
拭っても拭っても溢れ出てくる涙で、志麻の顔はぼんやりとぼやけていた。
「ありがとう。頑張って忘れようとしても、傷を見るたびに思い出しちゃって」
震える僕の手をそっと握り。
「そんな傷、俺が忘れるくらいいくらでも付けてやるよ」
「それって、どういう…うわっ」
ベッドの押し倒され、目と目が合う。
「こういう事。昨日はキツくてごめんな。でも、お前のせいでもあるんだからな」
「なんか、僕した…?」
思い出すだけでも恥ずかしいあの夜の事を、覚えていること全て思い出し、僕が何をしたか思い出す。
「可愛すぎるとこ」
「……」
目をそらすことしかできなかった。また身体が熱くなる。
「そういうところだよっ」
キスをされた。
あの地獄の日々から、僕を救ってくれたのは志麻だった。あの時、志麻が話しかけてくれなかったら、一緒に遊んでくれなかったら、今と全く違う人生があっただろう。僕にとって志麻は、掛け替えのない存在。
「志麻…」
「ん?」
「大好き」
「俺も」
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