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熱愛報道
「望月ヤマト 熱愛発覚!?
あの大人気高校生モデル,望月ヤマトがまさかの熱愛発覚…ファンの女の子は絶叫間違え無し!
相手の女の子の正体とは一体……?」
「心菜…っ」
大和さんの妹さんは雑誌を手に取るとペラペラとそれを読み連ねた
「俺女の子じゃないです…」
「私の服着てんだから見てくれは女の子なの!」
心菜さんは半分怒りながら俺を睨みつけた
俺は思わずビクッと肩を揺らしてしまう
「まぁまぁ…それは俺が悪かったって言ったじゃん?
問題は熱愛報道をどう沈静するかだからさ…」
「そうだね…昼からもう事務所に電話が鳴り止まずに居たよ。今は電話対応営業外だから静かなのが救いかな…でも朝になったらまた……はぁ……」
雪田さんは溜息を吐きながら肩を下ろす
俺は思わず首を傾げてしまう
なんとなく大和さんは誰かと付き合っちゃいけない仕事でもしていて,いつも変装するのはそれがバレたらいけないから……? と自己解釈する
「俺が男ってことを公表すれば良いのでは…」
俺の言葉に雪田さんが「そうだったね!そうだそうだ」と嬉しそうな顔をした
けど大和さんは難しい顔をした
「レイラ…大勢の前で声出せる?」
俺はその言葉を聞いて大勢の前で自分が喋る姿を想像して硬直する
血の気が引く感覚がした
「でしょ…レイラが喋れるなら兎も角,俺だけが必死に説明してもそれは周りからわ真実として捉えてもらえないよ」
「お,俺が出ていくだけでも難しいですか…?それくらいなら俺にもできると思います…」
「ん!…どうだろうね,こう言っちゃ悪いけど海屋さん,女の子っぽい顔してるから黙ってたら性別分からないよね…話してても若干疑うくらいだし…」
そんな……
「脱げば…?」
妹さんの言葉でその場が凍り付く
「こ こ、声も出せない子に人前で脱げと!?更に難しいんじゃないかな!?!?」
最初に慌てて口を出したのは雪田さんだった
それを聞いても妹さんは「は?」と言いたげに表情を若干歪めてから「あー!」と言い出しそうな顔をした
「いやいや,別に人が多いところで脱がなくても,水着のモデルとか称して撮って新人モデルでしたー!くらいの勢いで出せば解決しない?」
「うむ…確かにいい考えではあるな……」
「でも新人と称するからには今後使っていかないと不審がられるのでは……?」
「やっぱりそうなるとレイラの意見が必要になるけど…」
4人でわんやわんやと話を進めているあいだ俺はポカーンっと話を聞いていた
すると突然大和さんが俺の顔を見て度々心配そうな顔をする
俺がキョトンっと首を傾げると大和さんは少し悩んでから口を開いた
「レイラ,写真を撮って雑誌に載せる事で熱愛報道を沈静しようって事に話が進んでるんだけど…レイラは日本中に顔が広まるのってどう…?」
顔が広まる…
本当は恐ろしい事だと俺は震え上がるかもしれない
けど…
「それしか方法がないなら乗ります
それにもう沢山の人に見られてるんですよね」
俺は熱愛報道だとか書いてるらしい雑誌というものを手に取り大和さんにそのページを向ける
大和さんは思わず苦笑いを浮かべていた
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