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第43話

 翌朝。晴斗が起きたのは午前十時を回ってからだった。チラリと九尾に目をやったが、彼は布団の上で縮こまったまま起きる気配はなかった。心身ともに疲れ果ててしまったのだろう。自然に起きるまでそっとしておいた方がいいかもしれない。  なるべく音を立てずに部屋を出て、晴斗は軽くシャワーを浴びた。  さっぱりして部屋に戻ったら、九尾は全裸のままぼんやりと布団の上に座り込んでいた。 「ああ、起きてたのか」 「っ!? は、晴斗……!?」 「おはよう。せっかくだからシャワー浴びてきたらどうだ? いろんな意味でスッキリするぞ」 「あ、え……」 「それと、昨日のパジャマは洗濯機入れておいたからな。その布団も洗濯しとくよ」 「あ……ああ……」  気まずそうに目を逸らす九尾。ほんのりと目元を赤らめ、ずっともじもじしている。  こちらから話を振ってやろうかとも思ったが、どう切り出していいかわからなかったので、九尾が何か言ってくれるまで待つことにした。  情事で汚れてしまったシーツを剥がし、敷布団をたたんで運ぼうとすると、 「あ、あの……」  ようやく九尾が声をかけてきた。彼はなおも言いにくそうにしていたが、絞り出すようにこう呟いた。 「昨夜は、その……すまなかった……」 「…………」 「迷惑かけて反省している。もう二度とあんな……その、はしたないこと、しないから……」 「…………」 「だ、だからその、晴斗も昨夜のことは忘れてくれ。それじゃ……」  逃げるように部屋から出て行こうとする九尾の尻尾を、晴斗はガシッと掴んで止めた。 「きゃん!」  引っ張られて転倒した九尾の上に馬乗りになる。九尾は明らかに動揺し、目を白黒させてこちらを見た。

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