134 / 134

第134話*

「ひゃあ……ん、あ、もう……っ」  キツネの耳を食んであげたら、九尾は甲高い声で鳴いた。刺激されるとより快感が高まるらしく、中がきゅうきゅう引き締まった。凄まじい締め付けに痛みを覚えるくらいだった。  後ろからだと、綺麗な尻尾がよく見える。試しに晴斗は、尻尾の付け根を指で揉んでやった。 「ひんッ!」  途端、九尾の肩が大きく跳ね、びくびくと全身が痙攣した。しばらく震えが止まらず、背中も綺麗に反り返って、今にも膝が折れそうになっている。どうやら感じすぎて軽く達してしまったようだった。  ――こいつ、耳より尻尾の付け根の方が弱いのか……。  これは、九尾と身体を合わせたことのある人でないとわからない事実だ。またひとつ、九尾の弱点を見つけた。その優越感に、晴斗は酔いしれた。 「ああ、あぁん、晴斗……っ」  甘えた声で名前を呼んでくる。初めて慰めた時と違い、今度は間違いなく自分を呼んでいる。  晴斗は後ろから九尾を抱き締めた。そして囁いた。 「……ずっと一緒だよ。いつか俺が寿命で死んじゃっても、必ず生まれ変わってお前を迎えに行く。それまで待っててくれよな……」 「っ……」  ぶるりと身体を震わせ、九尾が肩越しに振り返った。紫色の瞳が晴斗を捉えた。彼はとろけるような笑みを浮かべ、幸せそうに言った。 「ああ……ずっと待ってる。千年後も二千年後も、私はあなたを愛してるから」  最高の返事だ、と思った。千年以上も同じ恋人に想われているなんて、俺は本当に幸せだ。  あふれる愛情を九尾に注ぎ込みつつ、晴斗は身に余る幸福を噛み締めた。

ともだちにシェアしよう!