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第1話
眼下に広がるのはゆるく広がった黄色い雲と、その合間から、かすかに見える敵の姿。犬のような姿の敵は赤い目でこちらを睨みつけながら、がるるると時折吠えている。
横に並んだ仲間たちが一様に押し黙るなか、オレはにやりと笑って言った。
シン.『調教開始だ』
そして、仲間と共に一斉に敵のもとへと飛び降りた!
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k『お疲れ様(=゚ω゚)ノ』
シン.『おつおつ』
夢時『乙です〜!』
BEEEEZ『お疲れ様でした(o^^o)』
田中さん『おちゅん♪』
k『なんとかクリアできたねww』
田中さん『ゆめたんクリアおめ!』
シン.『ギリギリw』
BEEEEZ『夢ちゃんクリアおめでとう(≧∇≦)』
k『おめでとうございます!』
夢時『ありがとう!みんなのおかげです〜!』
シン.『おめでとっ!!』
左手にはコーヒー、右手にスマホ。それがオレの最近の定番スタイル。
今もすっかり冷めたコーヒーをぐびぐび飲みながら、スマホの画面下部に現れたキーボードでチャットを打つ。
「ゆめ、さっさと武器作ってきな、と……」
そう、オレは別にファンタジー世界の勇者でも何でもない。一介の専門学校生だ。
夢時『りょかい!でもさ』
夢時『さっきの調教開始だ、って何ww』
田中さん『あっそれ俺もおもた笑』
k『シンかっこつけすぎww』
シン.『ちょっと言ってみたかっただけだよ!いいじゃねぇか別にorz』
恋人いない歴半年、半年前からハマっているものーーネットゲーム。シン.というキャラクターで1つのゲームに集中してプレイしている。
ネットゲームの何がいいって、街で会ったとしても絶対にすれ違うだけの人たちと会話を交わせるのが楽しい。普通に生きてたら会えない人たちとゲームの中で出会えるのが面白い。
何より、現実(リアル)と違って自分を自分と知らない人ばかりだから、自由に振る舞える。
シン.『じゃ、これで解散な。みんなありがと!』
夢時『ありがとうございました!』
BEEEEZ『パーティーありがとうございました(o^^o)』
田中さん『お疲れ〜♪』
k『ありがとでした!』
次々とパーティー(複数人でボスを倒す時に組むグループ)を抜けていく仲間たち。最後には馴染みのkとオレだけが残った。
パーティーメンバーがオレたち二人だけになってから数秒後、チャットに浮かび上がる文字。
k『明日待ち合わせどうする?』
うわぁきた。きてしまった。
オレはゴクリと唾を飲み込んで、おそるおそる画面に指を伸ばした。
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