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第2話

オレとほぼ同時期にこのゲームを始めたkとは何かと気があった。 ちょっとローテンションだけどkは面白いし、チャットも速いから言葉のやり取りが楽しい。食べ物とか音楽の好みも一緒だったし、もし現実(リアル)で会ったら楽しいだろうなって考えに至るのは早かった。 でも、オレがネットゲームをやってるのは、ゲームの中には現実(リアル)のオレを知らない人しかいないからだ。オフ会なんて以ての外だと思っていた。 だけど、ある日の夜のことだった。 いつもより遅くに、kがゲームにログインした。 シン.『k!遅いじゃん!忙しかったの?』 k『あぁ、今仕事終わった……』 シン.『((((;゚Д゚)))))))大変だったな!お疲れ様!』 k『ありがと』 k『誰か可愛い子に会って癒されたい( ゚д゚)』 kがそんなこと言うなんて意外だったから、思わずぷっと吹いてこんなことを打ち込んでいた。 シン.『ここに可愛いシンくんがいるよ?ww』 『野郎は求めてねぇww』とか『ばかやろーw』とか返ってくると思っていたら、返答は意外なものだった。 k『え?シンが俺を癒してくれんの?』 シン.『オレでよかったら喜んでww』 k『……本気にしてもいい?』 シン.『えっどういうことだよww』 ちょっと恐々と画面を見つめていると、現れたのはこんな言葉だった。 k『シンと俺、どっちも都内じゃん?会えたらいいなって思ってさ』 普通ならここでよく考えるべきなんだと思う。だけど、オレはこの時、深夜テンションのまま返事をしてしまった。 シン.『オレでよかったら喜んでww』 kは『ほんとか!?』と喜び、二人きりのオフ会の計画はとんとん拍子に進んだ。 それで、明日会うことになっているのだけれど……。 「また断れなかった……」 オレはソファに体を沈ませ、がっくりとうなだれた。 なんというか、いつもローテンションなのに、オフ会の話になるとkはすごく嬉しそうなのだ。チャットの文面からも楽しみにしてるのがめちゃくちゃ伝わってきて。 「なんかワリーなって思っちゃうんだよなー……」 はぁ、と溜息を吐き、一人暮らしの安いアパートの天井を見上げる。 「明日、行くしかないのかなぁ」

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