3 / 9
第3話
次の日、待ち合わせ場所のとある駅前に、オレは立っていた。
昨日は眠れなかったし、今日も今日とてゲームにログインする気も起きず、朝から部屋を行ったり来たり。ここにも三十分前に着いてしまった。これではまるでkとのオフ会をすごく楽しみにしてるみたいだ。
……いや、楽しみにしていない訳ではないんだけど!でも、なんというか待ち合わせの五分前になっても現れないkが少し腹立たしいというか。
オレはいらいらして、横向きに持ったスマホの画面をコツコツと人差し指の爪で弾いた。
お互い顔は知らないから、駅前に着いたら時計の下で画面を横向きにしてゲームをしてようということにしたのだ。だから、kが来たらオレに声をかけてくるはずだが……。
「すみません……シンさんですか?」
そう、こんな風に。
オレははっとして振り向いてーー固まった。相手も目をみるみると大きくさせる。
「え、遠藤……?遠藤がシンなのか?」
記憶にあるものよりも大人びた声が、オレの名を呼んだ。
ともだちにシェアしよう!