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採用試験
王宮までは1時間ぐらいかかる。
少し早歩きで向かうと長蛇の列が
できていた。前の人に王宮の仕事の
試験に来たのかと聞くと、そうだ
という返事がきたのでそこに並んだ。
(何人来ているのだろうか。
僕はオメガだけど大丈夫かな)
この国にはアルファ、ベータ、オメガ
に分かれている。僕のようなオメガは
昔から差別的な目で見られていた。
最近は少しずつ無くなってきているが
まだ、完全とは言えない。
考え事をしている間に僕の順番が回って
きた。
「名前、年齢を書いて」
「はい」
書き終わると大きな部屋に通され
机の上に紙が置いてあった。
「この紙に出来るだけ多く、この国
の歴史を書きなさい。時間は5分」
始めの合図が響くと、一斉に書き始めた。
僕は内心驚いた。もう少し難しい問題が
出ると思っていたが、まだ他の試験を
するのだろうと思った。
5分はあっと言う間で、文章ではなく
箇条書きにして正解だった。
試験監督である女性が解答用紙を見て
いるとある紙で手が止まった。
「谷川亮、前に来い」
一瞬ドキッとしたが前に出て
挨拶の姿勢をした。
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