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何だ
昼休み。俺はいつもの3人で昼食を取るべく、
勇人の席を訪れた。
「あれ、成一は?」
「…んっんー 」
しかし、そこに成一の姿はない。
でかい梅おにぎりを頬張る勇人に問いかけるとハムスターのように頬を膨らませながらドアの方を指す。
そこにはドアにもたれ掛かりながら女の子と話す成一がいた。
あの子って、5組の小谷野 さん?
少し頬を染めながら上目遣いに話をする彼女は可愛いと有名な5組の小谷野さん。
男子なら一度は付き合ってみたいと思うほどの人気だった。
「一緒にいると忘れそうになるけど、村野ってやっぱモテるよなぁ」
いつの間におにぎりを食べ終わった勇人が頬杖をつきながら話し出す。
俺も美人と付き合いてーと項垂れる勇人を横目に俺は成一に視線を戻した。
…やっぱり、成一はあーいう可愛い女の子が好きだよな
「…っ……」
……ん?なんだ今のズキって
息を詰まらせた自分に驚く。なんとなくモヤモヤするような、ズキズキと胸が痛むような感覚が気持ち悪い。
ぎこちない表情を隠すように無糖のアイスティーを一口飲んだ。
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