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第1話
かなり年下の後輩がいる。
2、3年前から俺の馴染みの店に来るようになり、その店の先輩・後輩と言い始めただけで、学校や仕事の後輩というわけではない。
「調子いいヤツ」という言葉から想像しうる調子良さを、全て体現したような野郎だった。
媚びる、おべっか使う、甘えるのが上手い。そして憎めない。つくづく特な性格をしていた。
見た目もその通りの調子の良さだった。
前髪の長い金髪に、後ろ髪は刈り上げの黒。
ピアスは両耳合わせて10個、フル活用している。
服なんかはどこで買ったのかわからないくらいのデザインと色で、昼間に黄色い蛍光のブルゾンなんか着てこられた日には、光を反射して頭が痛くなる程だった。
最近眼鏡かけ始めたなと思ったら
「眼鏡ってかけてると頭良く見えるじゃないっすかぁ」
と言っていた。しかも視力矯正のためではなくて、ただのオシャレ用の伊達眼鏡。もう何も言うことはない。
最近の子は~、という言葉はあまり好きではなかったけど、そう形容しないと、コイツの生態を理解することができなかった。
不思議なもので、この最近の子は、やたら女にモテた。
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