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第10話 下心
夕飯を食べ終えると、後片づけは京が買って出た。その後は、二人でテレビを見ながら他愛もない話をする。俺のガタイがよく嵩張るせいで、京の小さめの二人がけソファでは、肩と腿が触れ合ってしまう。
ふと沈黙が落ちた。と思うと、京の頭が俺の肩にしなだれかかる。
「京?」
やや声を潜めて問うと、期待とは裏腹に、規則正しい寝息が聞こえてきた。ガッカリしなかったと言えば嘘になる。だがバイトで疲れている京を遅くまで引き留めていたのは俺だ。少し反省し、京を起こさないようにゆっくりともたれている肩から外すと、そうっと横抱きにしてベッドまで運ぶ。
起こすのが気の毒なくらい深く寝入っている為、シャツのボタンやベルトを緩め、そのまま寝かし付けてしまう事にした。京の中性的な顔の両側に掌をつき、囁いた。
「おやすみ、京」
下唇を軽く食み、俺は京の部屋を後にした。
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