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#2
「ひっ…やっ」
男は牢の隙間から手を伸ばし蜜の足を掴んだ。そして牢の方に引き寄せた。蜜は檻にカラダをぶつけ、それ以上動くことが出来なくなっても、なお、強いチカラで牢に引き込むように引っ張られる。
「やっ…痛いっ、やっ…!!」
男は牢越しに蜜の腰を掴んで、引っ張りあげた。蜜は腰を高く上げさせられ、バランスを取ろうと足を伸ばす。すると、肩に重心が移り前のめりになり、地面に突っ伏した。
恐怖で逃げ出そうともがくけれど、腰をガッチリ掴まれて、逃げられない。
檻に尻が食い込むほど引き寄せられて、そこに男の腰が擦り付けられた。
「ヒッ…なにを…!」
蜜が振り向けば、男は口の端を上げて笑っている。蜜は額から汗が流れ落ちた。
左手で蜜の腰をガッチリ掴んだまま、右手で蜜の服を剥いでいく。
男と蜜の間にある檻が冷たく肌にあたる。
「あっ…はっ…あっあ…うゔ」
グチュグチュ。
暗い地下牢に響き渡る不快な水音と蜜の声。檻越しに打ち付けらるそれに、蜜は体を支えきれず不安定になる。男の腕が蜜の腰を離さないため、蜜は両手を地面につき、尻を高くあげた状態で、牢の向こうにいる男のモノを尻に咥えていた。
「暇つぶしには、ちょうどよい。…私にこんな扱いをさせた人間にどう報復してやろうか。考えている間、お前には相手をしてもらおう」
お前は私の世話係なんだろう?と男の冷たく言った。その声を聞きながら蜜は達した。
バッチュバッチュバッチュバッチュ
「あっあっあっ…っんぁ…あっあっ」
乱暴に刺し抜きを繰り返される。男は魔の物だ。人間のモノより長くて太い。蜜の小さな蕾はいまやだらしなく広がっていた。
「ひっ…や、やだ…あっあっあっあっ」
何度か中に射精され、白濁の液が穴から垂れる。
「あっあっ…んっあっ、やっ、あっ」
それ以上に蜜自身も達している。もう出すモノがないそこは切なく勃っている。
「あっあっ、や、もうやだっあっ…やだぁ」
男は笑う。
「先刻の無気力より幾分マシな顔になってきたな」
「や…だ、っあ、苦しっあっあっん」
蜜の苦しむ顔は男を興奮させる。下から突き上げるよう深く指す。もっともっと奥へ。
2人の間には檻があり、体が密着することはない。もどかしさを感じる。根元まで挿入たいのに挿入られない。男はそのイラつきを蜜にぶつける。刺して抜いて刺して抜いて。だんだん動きを小刻みに激しくする。殴るように腰を打ち付ける。
「あっぐ…ぅぐっぐ…あっあっ」
蜜はその激しさについていくのがやっとで、呼吸すらままならない。揺さぶられ、涙か溢れ、焦点も定まらない。
はやく、終わって。
苦しい。
苦しい。
いっそーーー殺してーーー
男の動きが今までにないくらい速くなり、そして、奥深く刺され、熱い液が注がれる。
ようやく解放された蜜は床に倒れ込み、痙攣を起こす。ピュッと尻の穴から白濁の液が漏れる。
「くっくっくっ、滑稽だ」
あれだけ激しかったのに男は息ひとつ乱れていない。それがさらに蜜を惨めにさせた。
床に倒れたまま蜜は言った。
「も、もう…殺して…」
「フッ、弱い生き物よ」
「おねがい…します…」
疲れた。僕は…とても疲れている。
早く休みたい。
「死にたい人間ほどつまらないモノはない。私の脅しが効かないからな。殺してやったら、私がお前の願いを叶えてしまうことになる。なぜ私がそんなことをしなくてはいけないのか。」
ハアハアハア、上がる息を整えるのに必死で、蜜は男の話が頭に入ってこない。
「お前…名は?」
「…っ」
「名前を聞いている!」
ガン!牢の隙間から足が伸びてきて蹴っ飛ばされる。
「ぐっ…。みつ…蜜と申します!」
叫ぶように答える。
「そうか。蜜。お前を殺さない。ただし生きた心地もしないように、私の側に置いてやろう。私の『お世話係』なんだろう?私に逆らえないよう調教してやろう。私がお前の主人になってやる。逃がしはしない。」
男は楽しそうに喋っている。朦朧とする意識の中で蜜は思った。
ーーーなんだ、今までの暮らしと大して変わらないな。
死にもしない。ただ生きるだけ。
構ってくれる分、この男の方が今のご主人よりまともに思えた。
蜜は疲れていた。もう考えたくなかった。
男の方を見やる。恐ろしいのに、その紅色の瞳だけは変わらず美しかった。
蜜が社を出た時、外はもう暗かった。社の外にいた大勢の人間はすでにおらず、みはりの男が1人立っているだけだった。
「ちっ、なんだ出てきたか。あんまり遅いんでもう化け物に喰われちまったのだと思ったよ。中で何をしていた?化け物はどうなった?」
乱暴に肩をど突かれて、蜜の体をはフラリと揺れる。蜜はボソリと呟く。
「もう喰われたよ…僕の新しいご主人に…」
「なんだ?」
「いえ…」
蜜は、にこりと笑って見せた。見張りの男は怪訝な顔をした。
「お前…それは…」
見張りの男が蜜が手にしている物に気付いた。お札だ。社のお札だ。
「剥がしたのか?何勝手なことをしてるんだ!」
ガツンと蜜の頭を殴る。勢いで倒れた蜜の顔はそれでも笑っていた。
見張りの男は薄気味悪く思った。蜜の後ろに紅の光りが見えてハッとする。
「うわあっ、ば、バケモ」
バシュッ。見張りの男の首が飛んだ。
「行くぞ、蜜。人間に復讐をする」
「はい、ご主人」
蜜は立ち上がり男の後をついて行った。
それでいいと思った。
今宵は新月。
闇は深い。
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