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第3話

新規の客だと主様が言っていた 「失礼致します」 「入って」 「はい」 漆黒の髪 切れ長の目 整った顔立ち 若いな…… 20を少し過ぎた位か……? 「霧雨(きりさめ)さま。 お初、お目にかかります。 琥珀と申します」 深々とお辞儀をする 「年は?」 「18でございます」 「俺は23。今日は誕生の祝いで、 友人がここを紹介してくれたんだ」 「おめでとうございます。 私では役不足かと存じますが、 精一杯、ご奉仕させて頂きます」 「友人が琥珀を美しい美しい、 と何度も言うのに、納得がいった。 まるで雪のように綺麗だな。琥珀」 仕事柄……よく美しいとか綺麗だとか、 世辞を言われたけど…… 『雪のように』 なんて言葉……初めてだ…… 何度抱かれたか、数すら分からない 汚れた体 それなのに 純真無垢な汚れ一つない雪に例えるなんて…… 「……ありがとう……ございます」 少し面食らってしまった 「琥珀……さぁ。こちらへ」 遠慮がちに近付くと霧雨さまは微笑んだ 「口づけはしても?」 「…………はい」 本当に珍しい わざわざ聞いてくれるなんて 髪を撫でられ、ゆっくりと頬に触れる 唇を指でなぞられた後、そっと口づけされた 優しく抱きしめられて、 何度も口づけを繰り返される 甘い口づけ 想い人にするような仕方に、 不覚にも胸が高鳴った ……こんなの……初めて すぐに行為にもっていく客がほとんど なのに、こんなに優しく丁寧に…… いけない 仕事を(まっと)うしなくては…… 「触れてもよろしいでしょうか」 伺いを立てる 「では、一緒にしよう」 …………一緒に!? 「わ、私の事はいいのです……あ、ァ……」 話してる途中で刺激があり、 ビクリと体が跳ねた 「な、なんで……触っ……ん……」 「色っぽい声だね。俺のも早く触って」 さっきまでとは違い、 妖艶な笑みを浮かべてる 男娼を欲望のはけ口にする客も少なくない 一緒に…………? 意味が分からない 混乱しながら言われるままに、 霧雨さまに手を伸ばした
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