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第2話

「琥珀! お前……永井様に身請けの話をされて、 断ったって本当!?」 「…………飛翔(ひしょう)。誰から聞いたんだよ。 あまり大きな声で話すな」 飛翔も17 同い年の男娼 ここには身請けをされる為に 働いている者も多い こんな話聞かれたら、やっかまれるだけだ 一人では生きていけない者が 誰かを縋って生きる 別に悪い事じゃない だけど、俺は覚悟が決まらない 身請けされた後に冷めてしまったら…… 捨てられた男娼の末路など目に見えている それなら、まだ……このままでも…… 「永井様、お優しいだろ。 何が不満なんだよ」 「不満なわけじゃない…… 誰かと暮らすなんて考えられなくて……」 「琥珀くらいだよな。 普通は身請けの話が来たら、 本人通さず、店主と客のやり取りで、 決まるもんなんだぞ…… お前はこの店の看板だし、 店主にも可愛がられてるからなぁ。 でも、琥珀…… 男娼の幸せは身請けだと思う。 幸せ逃すなよ……」 飛翔が心配して言ってるのは分かる 飛翔は12歳でここに売られ、5年以上 寝食を共にしてきた家族のようなものだ ガラ…… 引き戸が開く 「琥珀。お客様だ」 「はい。主様」 「椿の間に」 「すぐに参ります」

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