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第92話
林道に客人用の紅茶を出してから自分も座る。
七瀬『ダンスの練習をしてる時に少しだけ喧嘩をしてしまって…。
それで、じゃあもう踊らないの?って聞かれて謝ろうと思ったら、明原さんと河田さんが来て…。
会長に明原さんが踊ろうって言って会長は断ろうとしたけど何かの約束を明原さんとしていたみたいで、僕に断りを入れてから明原さんと踊るって。』
すると、林道は僕と同じことを思ったらしい。
八尋『…なら、榊はなんのため?』
七瀬『河田さんにダンスを申し込まれましたが丁重にお断りしました。』
八尋『…まじで?七瀬、気に入られてるみたいだね。』
気に入られてはないと思うけど…
七瀬『僕は伴奏をやりますから。』
八尋『…そうか…約束って何なんだろな。』
七瀬『分かりません…』
2人だけの約束なんて知る由もない。
八尋『…でもさ、約束と言われるまでは断ろうとしてたんだろ?なら、紅華も七瀬と踊りたかったんだよ。』
七瀬『…そう、なんですか?』
元カレ出てきて僕に愛想をつかしたとかじゃなくて?
八尋『そうだろ?てか、集中したら完璧な敬語になるのやめろよ…やりづらい。』
七瀬『あ、ごめん…』
指摘されると普通に謝ってしまった。
八尋『謝んなよ…らしくないし。』
七瀬『ふふっ…林道も、珍しいね。』
素の方がやっぱりいい。
八尋『…ホント可愛い…珍しくねーよ。』
可愛いという言葉は頂けない。
七瀬『…可愛くない。』
八尋『…はぁ…』
七瀬『…た、溜息つかないで…』
何か僕に向けてため息をつかれると悲しくなっちゃう。
八尋『…。』
七瀬『…はぁ…』
七瀬・八尋『『ふふっ/ぶふっ』』
無意識に僕もため息をついていたらしく、2人でで吹き出した。
さっきまで酷かったモヤモヤも少しだけ軽くなった気がして。
七瀬『…ありがとう』
素直にお礼が出る。
八尋『…あー、別にいいよ。じゃあばいばい。』
満足したのかソファから立って出ていった林道。
七瀬『…ばいばい…』
いつの間にか下校時間になっており、寮へ帰った。
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