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第107話
コツコツコツ…
ステージの上にあがってきたのは、タキシードを着た格好いい柳さん。
どうしたのかと首を傾げる。
七瀬『…柳さん?』
すると柳さんは耳元に顔を寄せてきた。
柳『理事長もどこからか観覧しているから、怪我のことバレたくないのなら気を付けないと…』
わざわざ伝えに来てくれたのか。
七瀬『えぇ。この位なら耐えまれすよ。』
柳『…俺でも代われるけどいいのですか?』
七瀬『…久し振りのピアノです。きっと痛みも忘れられます。』
顔に笑顔をはりつけ、口角を上げると
さらに心配を煽ってしまったらしい。
柳『…はぁ。無理に笑うなって』
柳さんはたまに理想のお兄ちゃんみたいに素で接し、その後は必ず頭を撫でてくれる。
柳さんの僕を撫でる手はとても暖かくて大好きだ。
七瀬『ありがとうございます。』
柳『…では。』
一例をしてからステージの上から降りていった。
いつの間にかホール内はザワザワしていて、
皆が僕達のやりとりを見ていたらしい。
まぁ耳打ちをしていたので、内容までは分からないだろう。
この中に会長いるかな…
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