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第109話

ダンスパーティでよく使われる曲を弾き始める。 ステージの上は見晴らしがいいので無意識に会長の姿を探してしまう。 ぁ、いた… 明原さんと踊っている会長がそこには居た。 どうも二人は各がちがうらしく、目立ちまくる。 会長のタキシード姿は素晴らしいなんてもんじゃなかった。 もし、僕がパートナーだったら至近距離で見られたのかな… なんてことを考えながら弾く。 もちろん、明原さんもドレス姿で美しくて女性にしか見えなかった。 物凄いモヤモヤするけど、今の僕に出来ることは 痛みとモヤモヤに耐えながら美しい音色を奏でること。 全うしてやる。 最近会長に話しかけていないし、 顔すらも合わせていない。 親衛隊総隊長のくせに。 兄さんが怖いから、なんて理由を使って 本当は会長に嫌われて、必要すら感じられなく扱われるのが怖いだけなのに。 ッ痛いな、 骨も心臓もギシギシするや…

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