123 / 124

第118話

柳さんは、全員の紅茶を用意して自分も腰を掛けた。 そして皆の視線が七瀬に集まる。 七瀬『生まれたところから話します。 僕の生まれは東郷です。』 和哉さんと会長は唖然としていた。 和哉『あの東郷か?』 和哉さんの問いかけにゆっくり頷く。 七瀬『…隠し子でした。旦那さんは僕にはめもくれず。メイドに任せて顔を合わせたことがありません。 その後いよいよ子供が生まれて…嫌がらせのように刺青を入れられ、三歳で捨てられました。』 僕が捨てられたと言った時の皆の顔は酷く辛そうで。 七瀬『その後、とてもおしとやかな家族に拾われたんです。 母親、父親、そして兄さん…僕は凄く幸せでした。 ですが…ある時小学校の同級生に性的いじめをされました。 あ、犯されてはいません。 それがただ、とても、悲しくて怖かった…。』 思い出しては情けなく震える僕の手を会長は握りしめてくれた。 とても暖かかった。 七瀬『お家に帰り、当時の父親にそのことを話したら、食事の後に書斎においでと言われました。 なので、書斎に行くと… 行く、と‥…』 悪夢はそこから始まったのだから、口に出しながら思い出すのが恐い。 そんな僕の様子を見てか、会長の握る手に力が入る。 "大丈夫"なぜだか、そう言われてるように感じた。 やっぱり素敵な人だ。

ともだちにシェアしよう!