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第118話
柳さんは、全員の紅茶を用意して自分も腰を掛けた。
そして皆の視線が七瀬に集まる。
七瀬『生まれたところから話します。
僕の生まれは東郷です。』
和哉さんと会長は唖然としていた。
和哉『あの東郷か?』
和哉さんの問いかけにゆっくり頷く。
七瀬『…隠し子でした。旦那さんは僕にはめもくれず。メイドに任せて顔を合わせたことがありません。
その後いよいよ子供が生まれて…嫌がらせのように刺青を入れられ、三歳で捨てられました。』
僕が捨てられたと言った時の皆の顔は酷く辛そうで。
七瀬『その後、とてもおしとやかな家族に拾われたんです。
母親、父親、そして兄さん…僕は凄く幸せでした。
ですが…ある時小学校の同級生に性的いじめをされました。
あ、犯されてはいません。
それがただ、とても、悲しくて怖かった…。』
思い出しては情けなく震える僕の手を会長は握りしめてくれた。
とても暖かかった。
七瀬『お家に帰り、当時の父親にそのことを話したら、食事の後に書斎においでと言われました。
なので、書斎に行くと…
行く、と‥…』
悪夢はそこから始まったのだから、口に出しながら思い出すのが恐い。
そんな僕の様子を見てか、会長の握る手に力が入る。
"大丈夫"なぜだか、そう言われてるように感じた。
やっぱり素敵な人だ。
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