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第63話 オレノ
「……」
「中が……俺のことをどう思っていても、中はもう俺のモノだってこと……」
「……」
な、埜の整った顔が……瞳が近い。
いつもきちんととセットされた柔らかそうな癖っ毛の髪は、微笑む埜の瞳を覆うように乱れ、それがやけに色っぽく見えた。
吸い込まれてしまうくらい綺麗だ……
「俺が惚れた時点で中に選択肢はまずないんだけど、それでも好きな奴に好かれることは……まぁ悪い気はしないな……俺カッコいいしな」
「……え」
うっとりとした笑顔で、そんなことを言う埜の大きな手が俺の髪を優しく撫でてくれる。
……
「お兄ちゃんのことまるごと……俺は欲しい」
ドキン……ドキン……
頬を撫でられ……髪を撫でられ……顔は至近距離で、俺のモノだとか囁かれてる……これって俺に向けて言ってるってことは、
ええええ……マジで……
そういうことでいいの……
「さっきの言葉もう一回言えよ」
「え……埜、埜のこと大好きってやつ?」
「もう一回」
「……埜のこと大好き」
「……はは」
「な、埜ぉ……何か俺……全然余裕なくて……死にそうなんだけど」
「……は?こんなんで死ぬってアホじゃね?」
「だ、だって……俺のこと散々ダサいダサいって言ってたじゃん……」
「ダサい奴にダサいって言っただけだろ……中はダサい。ダサくて……」
「……」
「……まぁいいや。とりあえずわかったか?分かったならもう……クソ無駄な嫉妬すんな」
「だってあの子は……」
「……あいつは中に告ったらしいぞ。中に思い切り勘違いされたから改めて告白したくて今朝友達連れて来たんだと。俺が中の代わりに断ろうとしてたのに、お前に邪魔されたから予定狂ったじゃねーか」
「……は?」
「カップル誕生とか勝手に決めてんじゃねーよ!あんな女子に興味もねぇし!俺告られるの慣れてるから、これからはそういうの気にしてるとキリがないからな?……もう一度言うか?あの女子は中さんのことが好きらしいぞー!……あの女子とは二度と会うなよ。分かったか?」
「え、あ、えええ!!そうなの!?なんで俺?絶対嘘だろ!え!って……ちょ、ちょっと……何してんだよ」
え、あの子俺に告白してたのか!?
思いもよらない回答に驚きつつも、埜の手がいつの間にかスルスルと俺のTシャツのなかに侵入していて、俺のわき腹をさわさわと撫でていることに気がついた。
「あ?何って決まってんだろ。これからエロいことすんだって」
侵入した手が腰からわき腹……背中を撫でたり揉んだりしてくすぐったい。
シャツはぺらりと捲れ、下っ腹が丸見えになる。
腹筋のほぼない恥ずかしい腹に触れられ……その更に下……下半身へと手を伸ばしてきた。
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