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第1話「始まり」

桜がひらひら舞い上がる。 広い学園の庭を少年はため息を付きながら歩いていく。 少年の名前は戸川茜雲(あかね) ルーズシェイクマッシュのヘアースタイルと黒瞳 ある事情から母の生家である戸川の家の世話になっていた。 世話になってる立場なのでどうこうは言わない。 久しぶりの陽の下が茜雲には、眩しすぎたのだ。 (あー、叔父さんもむちゃ言うな・・・まぁ、全員いるし、彼もいるなら飲むしかないけどさ) まだ春先だからが夏が不安だ。 まぁ、それまでには片付けて消える予定だし、いいだろう。と思いながら仲間がいる体育館へ向かった。 黒く染めた髪の毛が地毛に戻るまでがタイムリミットだから。 「瑠射」 茜雲は、体育館に入る前に見かけた親友を呼んだ。イギリス人の母を持つ彼の毛髪は、陽の下にあると黄金色だ。茜雲にとって一番お気に入りの髪だ。茜雲の呼び声に彼はすぐに振り向いた。 「茜雲ちゃん」 嬉しそうに笑いながらやってくる彼をいつも通り抱きしめる。だが、茜雲はすぐに視線に気づいた。今は茜雲は、変装してるが瑠射は素だ。しかも彼は 「風道の次男の方と知り合い?」 「変わった子だね」 ヒソヒソ話が聞こえてくる。瑠射は思わず周りにがんを飛ばそうとして顔を上げようとしたら、再び声が掛かる。 「瑠射、茜雲目立ってる」 「瑠射、お前自分のネームバリュー気づけよな」 呆れたような声と共に後ろを振り向けば黒髪のショートウルフカットと黒髪の ショートパーマの人物がそろって立っている。 二人ともそろって溜息をつきそうな顔をしていると、瑠射は 「いいじゃんか。羊の家の情報あればあそこでひそひそしていた連中ならすぐに家潰すよ。僕にとって茜雲ちゃんをバカにする時点で家なんかどうでもいいし」 キッパリ喧嘩売るように言うと、ひそひそ話していた子達はびくっとしながら 言うと、羊と呼ばれたショートカットウルフの子は 「はぁ・・・まぁどうして理事長の甥に手を出した時点で家潰されるのは決まってるだろう。あいつら特進だから除外されているしな」 溜め息をつきながら軽くにらむように言うと、その子達は慌てる様に急いで逃げていった。 そんな二人に対して何も言わずに黙っていたショートパーマの子は茜雲に近づくなり 「本当に綺麗な青だったのにな・・・・仕方ないとは言え似合わない」 膨れ面になりながら黒髪を触って言うと、茜雲はその手に自分の手を重ねるなり 「・・・いいよ、どうして叔父さんの仕事が終われば元の世界に戻るだけだ。今はひと時の遊びの時間だよ」 そういうと勇魚は口を釣り上げて 「分かったよ、俺らのボスのお遊びタイム、華麗に咲かせるのが俺らの仕事だもん。そういや風紀委員会の補充はどうなってるんだ?姉さんが五月蠅いんだけど」 最近の姉の愚痴を思い出しながら聞くと、茜雲は顎に手を置いて 「あー・・・あいつはしばらく事情ありで遅れてきます。というかいきなりどんと投げるよりは段階的に削った方がよさそうだと思いましてね。あいつもあのくそ生徒会長とは因縁あるんで丁度いいんです」 苦笑しながらいうと、勇魚ははーと溜息をつきながら 「こりゃ裏からしばらくフォローしたらいい?」 尋ねると、茜雲はにっこり笑って 「代わりに彼の左腕と情報屋をぶち込んでますし、羊も委員入りはしてくれるのでフォローは大丈夫ですよ。 僕が何も考えないわけないだろ?勇魚」 そういうと勇魚ははいはいと溜息を付きながら頷いた。 「じゃぁ、俺ら先寮室に行くからな、気を付けていけよ。茜雲」 そういうと羊達3人と別れ、茜雲は叔父が待つ理事室へ向かった。 その道中で茜雲は一番会いたくない男と出会う羽目になる。 宗家愁獅(そうけしゅうし) 二人が出会う事で、始まりの鐘は開始の音を告げる。 身体の中に流れる”毒”が引き起こす悲劇と悲しみの裏の戦争が開幕されていく。 ”毒”が主の命を奪い続けるのか ”薬”が主を助けるのか すべては導かれる運命の”祈りの声”

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