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第2話「初見と再会」

茜雲は木の陰の下を歩きながら理事長室へ向かう。 しかし少し日差しがきついのか服の背中から汗にが少し流れる気配がした。 (ああ、最近の温暖化やらめんどくさいよな・・・本当に生きづらい) 大きく溜息をついたと同時、さすがに休憩したいな・・・と周りを見た瞬間 茜雲は近くにベンチがあるのを見つけた。 さすがに日差しの下を歩きなれていないのか疲労感が出ていたのだ。 取りあえず見つけたベンチに腰かけて持ってきていたカバンから 水分補給のミネラルウォーターを取り出して飲んだ。 ごぐっ、ごぐっ 喉を通る水に茜雲がほっとしていると、後ろから声がかかった。 「お前、どこの生徒だ」 聞こえた声に茜雲はげっという心の声を出しながらも後ろを振り向けば そこにいたのは黒のショートヘアーソフトモヒカンの緋色の瞳をした 男・宗家愁獅がいた。 思わず引きつりたくなる顔を押えながらも茜雲はペットボトルの蓋を戻して締めると、そのまま立ち上がると振り向くなり 「理事長室に用事があるんで歩いていたんですけど、疲れたので 休ませて頂いていたんですよ」 営業スマイルのように笑顔を作って対応をすると、今度は彼の方が嫌そうな顔をした。 (おお、あの炎獅が絶好に嫌な顔をさせるとは叔父さん何をしたのやら) 「・・・理事長の関係者か?」 尋ねる様に聞くと茜雲はにっこり笑うと 「あれ?叔父さんから何も聞いてないんですか?」 不思議そうな顔をしていうと、彼はくっと唇を噛みしめると同時に 「理事長室いくならそのまままっすぐいって右に曲がれば近道だ。 正規の道行っていると時間がかかるからな」 そういうとそのまま彼は翻して茜雲が来た方向へと歩き出した。 取りあえずお礼は言うべきかと思ったが既に歩き出している彼にわざわざ引き留めて言う必要もない。 また会えば言えばいい。ただし、会えたらの話だ。 そう思いながら茜雲は教わったルートを歩き始めた。 しばらく歩いていくに連れて見えてきた白い建物を見て、茜雲は 「・・・あれかよ・・・」 思わず素の口調になりながら言うと、そのまま玄関の入り口へと向かって行った。 「・・・これピンポン付きって・・・一軒家なの?わけわからない」 玄関らしき扉の前についた茜雲はそこにあるピンポンの存在に気づいて思わずため息がつきながらピンポンを押せば、 『茜雲か、開いているから入りなさい』 向こうにいるであろう理事長の叔父の声に茜雲は 「はいはい。じゃぁお邪魔しますよ」 そういうと開いた扉と同時に入っていった。 最初は丁寧に歩いていた茜雲もだんだん叔父である理事長がいる。 部屋に近づくにつれて足も早くなり、ついには扉の前につくと足を上げて扉を蹴り飛ばした。 ばぁん! 「・・・茜雲、お前な・・・」 盛大な扉の音を立てて理事長室に入ってきた甥の行動に叔父である戸川夜光(やこう)は見ていた書類を机に置くと、茜雲は部屋に入って扉を閉めた。 「本当に何も聞いていないんだけど!!こっちはずっと昨日から叫んでるんだけど!?ね、叔父さん、超バカじゃねぇの!? くそ兄貴はもちろんなんであの男もいるわけ!?俺の二大地雷だぞ!」 叫ぶように言うと、夜光は溜息をついて 「俺は兄貴に言うようにお願いしたんだけどな、兄貴のやつ茜雲がごねるの分かって黙っていたな・・・」 呆れる様に言った。すると茜雲は理事長室にあるソファの一人席にどがっと座ると 「・・・取りあえず俺らを全員外に出したのは何か聞いてもいい?」 尋ねる様に聞くと、夜光はん?と首を傾げて 「・・・まぁお前らに普通の高校生生活してもらいたのが表の理由。裏の理由は・・・いずれ分かるから言わないけどどのみち茜雲でなければ対応できない話だから呼んだ。でいいか?まぁ、お前の希望通り、段階的に開放していく様にする」 そういうと茜雲は溜息を顎に手を置きながらも 「・・・分かったよ。取り敢えず副理事長は・・・不在なの?」 ふと思い出したように言うと、夜光はテーブルの引き出しに入れていた職員名簿を出した。 「茜雲、これはお前用に渡す。俺は出来ればここが大事な母校だから立て直しする為に来たんだが、思ったよりややこしいことになってる。お前なら、きっとわかる。 その身体に流れている物がお前に違和感を投げてくれる。俺がこの一年で感じていた違和感をな」 そういうと座っていた机から立ち上がってその書類を渡した。 素直に受け取った茜雲は軽くぱらぱら見る。 叔父が立て直しする為に連れてきた人材はそれなりにいるがやはり敵もまだ多いのも事実だ。 ぱらぱら視線を追いながら見ていた茜雲はふとある資料を見て手を止めた。 気のせいかと思いながらももう一度見て、また同じところで手が止まる。 「・・・あー何とか分かった。本当に違和感あるよ。分かった、取りあえず違和感の原因を引っ張り出す。そろそろ戻るよ」 そういうと資料を鞄に入れるなり、立ち上がると夜光は手を上げて 「おーそういやお前の担任星夜だから間違えても知り合いだってばらすなよ」 警告するようにいうと、茜雲ははいはいと手を振って理事長室を後にした。 理事長室を後にした茜雲はそのまま職員室へ向かう。 元々入学式は昨日だったのだが、茜雲は用意の関係で一日ずれているのだ。 その為に担任である北極星夜の元へ向かう事にしたのだ。 静かな自然の木々の間を歩きながら茜雲は先ほどから感じている。 違和感に薄々気づいていた。 (あの・・・目の色は・・・僕と同じ誤魔化しているとしか思えない。ということは・・・やつらが動いている?本当に難儀だな・・・全く) 溜め息を付きながら職員室がある本館へと向かっていた。

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