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第1話
少年、遠矢真木 には兄がいる
頭が良くて背が高くてイケメンで……
「おーい真木、準備出来たか?」
「まぁ…」
「じゃ、行こっか!!」
真新しい制服を着崩した真木は今日から高校生となり一つ上の兄、遠矢玲 と同じ学校に通うこととなる。
それが嬉しいのか朝っぱらからテンションの高いこの兄
顔が恐ろしくいい彼の笑顔はすれ違う女性皆が振り返り頬を染める。
こんな光景は最早慣れたものだが
同じ男として負けたようでやはり悔しい。
そんな兄と一緒に電車に乗り込み角の方移動したのだが兄が真木の顔を挟み込むように壁に両手を着く。
「……何?」
「何って可愛い弟が痴漢に遭わないように」
「いや、俺男だし!!
誰がヤローの身体触んだよ」
「何を言う!!こんな満員電車でお前みたいな可愛い奴が痴漢に遭わないわけないだろう!!断言してもいい100%襲われる。誰も襲わないなら俺が襲う」
堂々と電車の中で断言する兄に周りの目を気にして静かにと落ち着かせる。
と言うか金髪にピアス開けた真木を誰が襲うと言うのだ?
そう、真木は俗に言う不良と言うやつだ。
電車を降りる際も真木の手を引いて降りる
それはまだいいほうだ。
この男、降りたあとも手を離さない。
「なぁそろそろ離せよ…」
「駄目だ」
「何で?」
「何でって可愛いお前の手を握っていたいからに決まっているだろう」
「………」
頭が良くて背が高くてイケメンで…
そんな誰もが憧れる兄、遠矢玲は
極度のブラコンだった。
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