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第2話

結局学校に着いても手を離してくれることはなかった。 だがここからが修羅場だった。 「キャー!!遠矢君!!」 「玲君!!」 あちこちで黄色い歓声が沸き上がり この学校の女子達がこちらに駆け寄ってくる 中学でもそうだった。 兄がモテない筈がないんだ。 「おはよう玲君!!」 「ん~おはよう」 「キャー!!」 兄が一言発するたびこの歓声だ。 だがこの状況でも手を離してくれる様子がなくそれと何故か周りの女子が自分を睨んでる気がする… 自分は何かしただろうか? 「あの、玲様」 玲様?流石に中学では聞かなかった敬称だ。 「その方はどちら様ですか?」 一人の女子の言葉に一斉に皆の目が真木に向けられる 物凄く怖い……… 「………」 「ああ、俺の弟だよ 可愛いだろ?誰にもやらないけどな」 「……兄ちゃん何言ってんの!!」 可愛いとか誰にもやらないとか 何を言っているのかさっぱり分からない。 と言うかたまに兄の言っている事が本気で理解出来ないのだがこれは自分が頭が悪いからだろうか? すると再びキャーと言う声が飛び交う。 「玲様に弟さんがいたんですね」 「一年生なのね!!分からないことがあったら何でも言って!!」 「はぁ……」 弟と分かったとたん目の色が変わった 何なんだこの変わりようは…… 女と言うのはころころと態度を変えるから 何が本心なのか分からなくて時々怖い。 特に兄といるときのこの凄まじい熱気よ。 そもそも頭の悪い真木と頭の良い玲が同じ高校って言う所から可笑しいと思うだろう。 実は彼が家から近いと言うことと真木と一緒の高校がいいと予め真木が行けそうな高校を選んだのだ。 それほどまでに弟愛が強い彼。 「ほら、遅れるといけないから早く行こっか」 「あ、うん」 兄に言われ急いで教室に向かう その際心配だからと教室まで着いて来ようとした玲を断固拒否し逃げた。

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