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第22話(5年後~エピローグ~)

あれから5年。 俺は紫薫さんと二人で暮らしている。 番になったあの日。 幸せを何度も噛み締めた。 次の朝、俺と紫薫さんは番になったことを報告しに紫薫さんの別宅のお父様の元を訪ねた。 最悪二度と会えなくなると覚悟したのだが、歓迎され、全く想像していなかったことで拍子抜けたが、最後には˹ 紫薫をよろしく ˼と真摯に頭をさげられ、紫薫さんにそっくりの綺麗な笑顔で見送られた。 そして当時悩んでいた半年前の発情期は単に紫薫さんが薬を飲ませてくれただけだったと発覚。 ˹ ごめん ˼は寝てた俺を起こした時に言ったらしい。 俺のフェロモンが収まってから傍にいたため、紫薫さんには影響がなかったとか。 今思えばそれで悩んでいたのが恥ずかしい。 二人の間では懐かしい笑い話だ。 五年間でこの生活も落ち着いてきた。 お互いまだまだ不慣れなことばかりだけど、毎日たくさんの幸せに溢れている。 そして、俺の中にはもう一つのかけがえのない命が眠っている。 生涯この子と紫薫さんを愛し続けることが俺の願い。 榊さんや栗栖さん、藤堂家や亡くなった母さん父さん、紫薫さん。 数え切れない人たちが、今の幸せを支えてくれているとわかる。 貴方が教えてくれたのです。 紫薫さん、俺はあなたの大きな歯車になれましたか? この先も同じ時を共に、刻ませてください。 Fin

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