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永遠の契り 3

「大丈夫だ、案ずるな。私は君の傍にいるから」  洋月は必死の想いで、暗い過去を私に打ち明けてくれた。私はそんな洋月の髪に手を差し込んで胸に抱き、深く息を吸い込んだ。すると何とも言えぬ白百合の花のように気高く甘い香りが髪から漂い、私を深く酔わせた。  一方で洋月は、私の顔を見たそうに必死に首を捻っていた。 「丈の中将……お願いだ、顔を見せてくれ」  このまま一気に喰らいついてしまいたい獣のような衝動を抑えつつ、身を起こしてやる。至近距離で見つめあい息遣いを確かめると、洋月がまた花のように微笑む。 「ふっ……俺だけの中将なのだな」  そして自らの顔を近づけ、私の唇に重ねてきた。今、重なり合う想いが溶けだしていく。徐々に確実に深くなっていく口づけ。じれったいほどの時間をかけて、二人は互いの熱い想いを口づけを通じて伝えあった。ただ快楽に身を任せる交わりではなく、どこか神聖さを失わない、永遠の愛を誓う契りだ。  これから何が起きようとも、二人の心を引き離せるものはいない。  そう思えるほど、互いに真剣だった。  私の指先は洋月の後ろの蕾を探し当て、その入り口を円を描くように強弱をつけて撫でていく。もうそれだけで、洋月の前のものが立ち上がり張りつめていっているのが感じられた。 「可愛い……」  己で処理する時のように、洋月のそこを優しく揉み解し擦ってやる。 「あっ……あぁ……あ…」  途切れ途切れに切ない声をあげていく洋月に思いっきり欲情する。 「や……駄目だ」  そんな静止する声は、私の欲情を勢いづけるだけだというのに。擦る速度を上げていくと、洋月は一瞬躰を縮ませ、次の瞬間、精を私の手の中に放った。 「あ……そんな…」 「もう黙って、君は綺麗だ。心配するな」  その白濁のものを蕾の周りに擦りつけてやる。同時に洋月の興奮して赤く染まり尖ってきている可愛い乳首に吸い付いてみた。 「ああっ!」  乳首は特に弱いらしく、一気に胸を反らし見悶え始めた。ゆらゆらとしどけなく揺れる腰は細く頼りない。私は女は散々抱いて来たが、男は初めてだ。風流好みの兵部卿の宮から手順は学んふぁが、実際、今私の腕の中で裸で横たわる洋月の躰は女以上に美しく良い香りがして、何の戸惑いもなく欲情している。  素晴らしい。男も女も関係ないということがよく分かった。  だから私は、このまま一気に洋月を抱く。  十二分に、私の手によって花開いた洋月がとにかく愛おしいのだ。 「このまま続けていいか」 「あぁ……」  潤んだ眼で私を見つめ返し、洋月の方から熱い躰を持て余すように、私に縋りついてくる。 「丈の中将、抱きしめてくれ! もっと強く! 」 「洋月」  寂しかったのだな。  怖かったのだな。  洋月はずっと孤独で秘密に怯え、耐えていたのだ。  私の指はいつのまにか洋月の躰の中に入りこみ、ゆっくりと確実に心地よい所を求め動き出していた。 「んっ」  洋月の閉じていた入り口がゆっくりと開かれていく。 「洋月もういいか。私も我慢できない」 「あぁ、もう全てを君に委ねる。来てくれ」  私は洋月の蕾にそれをあてがい、深く深く腰を落とした。 「ひっ」  衝撃に続く、短い悲鳴。 「はうっ」  痛みを堪える浅い息づかい。腕に抱く洋月は、肩で息をしながら青い顔で小刻みに震えている。 「……まるで初めてのようだ」  あまりに初心な反応につい口が滑ってしまうと、洋月は顔をかっと赤く染めた。 「……想い人とするのは、初めてだから……躰が変だ」  その返答に胸がつぶされる思いがした。この人はどんなに長い間、理不尽に凌辱されてきたのだろう。それはどんなに辛いものだったのだろう。 「嬉しいよ」  どこか落ち着かない洋月の頭に手をのせ、何度も撫でてやった。この人は散々、帝に蹂躙されてきたはずなのに、穢れを知らない気高い人だ。こんなにも初心に反応し、乱れるその姿までもが美しく品がある。 「力を抜いて」 「んっ」  洋月はその長い睫毛を伏せ、何度も幼子のように頷いた。その愛らしい姿に胸が熱くなるよ。私のすべてを受け入れようとする洋月が愛おしい。 「君を大事にする……守ってやる」  どれほど繰り返しても、言葉では伝えきれない想いを囁く。洋月は嬉しそうに、でも寂しそうに微笑むのみだ。それでも伝えずにはいられない。この込み上げる想い。私は耳元に静かに囁き続けながら、洋月の躰の奥深くへと更に沈みこんでいく。 「あなたの傍にずっといたい」  さく呟くような洋月のささやかな願いが聴こえてくる。洋月の想いを受け取ると私の心も満ちていき、そのまま最奥で吐き出した。 「くっ」 「ああっ」  もう止まらない。ずっとこの日を待っていた。お互いに。 「ん……あっ……いい」  洋月の感じ出した声に私も一層熱く燃えたぎり、我を忘れて更に深く抱き続けた。何度も何度も、洋月が意識を飛ばしていくまで、ずっとずっと求め続けた。  厳かな共寝を繰り広げる二人を見ていたのは、御簾の向こうに浮かぶ月のみだった。  この先私達を待つのは何か、まだこの時は分からなかった。  初めての永遠の契りを交わしたばかりの私達には…… 「永遠の契り」了

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