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「大丈夫‥‥‥。俺が守るから」
将希に抱きしめられ、僕はハッとした。
稔さんの将希に対する物言いが、なんだか変だったことを思い出したのだ。
なんで稔さんは将希がいるからって、僕に話しかけられないのか。それに、「君には時仲くんがいたから」という言葉はどういうことだろう。
「玲、俺さ‥‥‥お前の事がーー」
嫌な予感が脳裏をよぎり、僕は将希の言葉を遮る。
「ごめん。それ以上、言わないでほしい」
僕は将希を押し退け、距離を取る。涙を止める事が出来ず、見っともない表情で将希を見つめた。
「僕は‥‥‥将希と友達でいたいんだ」
将希が表情を曇らせ、目を伏せる。僕だって本当はこんな事を言いたくはない。でも、将希は親友でそれ以上にはなれないと思う。
だからこそ、ここで将希が僕を好きだと明確にしてしまったら、この関係は続けていけないだろう。これは、僕の我儘で将希は悪くない。
「身勝手でごめんね」
どちらかを選ばなければならないという選択肢は、今の僕には出来そうになかった。
「いや、どうかしてたわ。ごめん」
何故か将希が謝り、切ない表情で口元を緩めている。
「だから、泣くなよ」
将希が優しく僕の目元を指で拭った。将希の優しさに、胸が痛くなる。将希は酷く傷ついているだろうし、今までの恩を仇で返すようなものだ。
「‥‥‥これからも、親友としてお前のそばにいさせてくれ」
将希の言葉に僕は、馬鹿みたいに何度も頷く。でも、うまく言葉が出てこなかった。
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