40 / 90

40

「順番なんて関係ないですよ。僕は稔さんが好きなんで」  自然と好きだという言葉が溢れ落ちた。稔さんがハッとした顔で僕を見つめる。  僕も思わずハッとして、恥ずかしくなり俯く。 「玲くん……」  名前を呼ばれ、恐る恐る見上げる。稔さんは優しくも、切ない目で僕を見つめていた。 「僕も好きだよ」  僕は思わず涙がこぼれ落ちる。  ああ、やっぱり僕は稔さんが好きだ。将希は確かに僕のことを、正当な手段で守ってくれていた。  稔さんも歪んでいたけれど、同じように見守っていてくれた事には違いない。  僕は自ら、稔さんの首に腕を回し引き寄せる。唇を合わせると、稔さんも僕の体に腕を回す。  自ら稔さんの唇を割って、舌を滑り込ませる。  うまく出来る自信はなかったけど、僕は夢中で稔さんの舌を捕まえるようと深く潜り込ませる。  「ふっ、んっ……っ」  甘い吐息が、唇の端から溢れてしまう。  稔さんのほうが積極的に攻め立てるように、僕の舌に甘く吸い付いてくる。自ら攻めていった筈が、すっかり陥落してしまう。  ぼんやりする意識の中で、二人の口づけの音が部屋に響き渡っていて妙に恥ずかしい。  唇を離すと、僕は力の入らない体で、ゆっくりと稔さんを押し倒す。  上に跨る形になり、稔さんが驚いた表情で僕を見上げている。その表情がなんだか間抜けで、僕は少し笑ってしまった。 「なんで、笑ってるの?」 「……稔さんが凄くびっくりしてるから」 「君も人のこと言えないぐらいエロいね」  稔さんが意地悪そうに口角をあげる。僕は恥ずかしくなって視線を逸らす。 「そういうこと言うなら止めます」  僕はムッとして降りようとすると、慌てた様子で稔さんが「ごめんごめん」と僕の腕を掴む。 「……続けて」  稔さんが艶っぽい目で僕を見つめてきた。扇情的な瞳に絡め取られ、僕は素直に上に跨る。

ともだちにシェアしよう!