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結合16
――そして今に至った。
すやすやと寝息を立て、無防備な玲くんを何枚か撮影した後、僕は玲くんが眠る横に座り込む。
「……玲くん。愛してるって事と、君を守るってことは本当だよ」
月明かりにぼんやりと照らされ、白く浮かぶ玲くんの顔を見下ろし呟く。
僕は玲くんが望む、『好青年でいい人』を演じ続けるつもりだ。
隠し撮りの写真は実家の自分の部屋置いてあるので、そう簡単にバレることはないだろう。
いつでも見ることが出来ないのが、惜しいけれど……。
でも、これからは好きな時に写真を撮ることが出来る。
僕は嬉しさで、目元に涙が滲んでくる。
柔らかい風が吹き、玲くんの前髪が目元に落ちる。その髪を優しく僕は指で退ける。
くすぐったかったのか、一瞬身じろぎをして眉間に皺を寄せる。すぐに力が抜けたように表情が和らいだ。
僕は思わず、微笑んでしまう。
何度見たって飽き足らない。何度触れたって物足りない。
ずっと、ずっと手放せないだろう。
急に目の前にいるのに寂しさを感じ、玲くんの左手を自分の左手で優しく包み込む。
指に光る互いの指輪を見て、ほっと胸を撫で下ろす。
僕は一つ息を吐き出し、窓の外に視線を向ける。
月に照らされたガマズミの花は、白く光り輝き手招きするように揺れている。
他にも植えられていた草花なんて、物ともしないような絢爛 さだ。
秋には赤い実を付けるので、それでお酒を作れるらしい。
二人の家の庭先に、この木を植えよう。
時仲くんとの思い出の花としてではなく、僕たち二人の思い出の花にしてしまえばいい。
旅先での新しい人生の第一歩として、その記念すべき花として……。
end
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