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噂の人は…

チュンチュン なんて鳥が鳴いてて、桜はもう散ったみたいだけど何だか気持ちのいい朝 絶好の入学式日和だなぁ 俺はこの春無事に第一志望の私立高校に合格し、新しい生活を送ることになった。 が、入学式といっても、友達を作ろうとか可愛い子を見つけようとかそういう希望を持ってるわけじゃない。 それどころか上手く話せるかとか初日で嫌われないかとかそんなことばっかり浮かんでくるあたり、俺は相当つまらない人間だ 「ちーさと!おっはよぉ?」 こんな俺にはありがたい奴が来た 桜庭優斗 幼稚園からの幼なじみ 愛想もない口下手な俺とは真逆の奴 可愛い顔をしてて、身長も男子の中では低い方で、間延びした話し方も普段着も可愛いに拍車をかけている。 まぁ本人はかっこいいを目指しているらしい が無理だと思うのは、うん。 言わないでおこう。 そんな優斗のおかげで俺が今まで ある程度の交友関係を築けてきたのは …………否めない。 俺の大事な友人の1人だ 「おはよう、入学式日和だな」 「……千聖ぉ。 かったいよぉ!なんでそんな母親みたいな こと言うのぉ?友達できないよぉ?」 …………前言撤回 人が気にしてることをヅカヅカと その間延びした言い方のせいで余計腹立つ! 今さら直せって言ったって えぇ、ええ。幼稚園からだしどうにもなら ないだろうよ!言わないけど!! 「あれ?ごめんねぇ?気にしてたぁ?」 「……別に。」 「またブスくれたぁ!可愛くないぞぉ??」 「うるさい!行くぞ」 どーせ、愛嬌無いですよ 「せっかく千聖、顔はいい方なのに 口下手なのがなぁ? ……あ!そうだ!!思い出した!!」 目も口も平ペったくした変顔から急におやつを思い出した子供のような顔をする優斗 「ぶっ…………。なんだよ」 「……ねぇ?なんで笑ったの?今、笑う要素 無かっ たよね?」 「うるさい!で!なんだよ!?」 「理不尽!あ!でね! そう言えばねぇ?すんごいイケメンが来る んだってよ!?」 「何処に?」 「俺たちの行く高校にだよぉ どうする?女子全員取られたらぁ」 ……本気で言ってんのか?そんな女子全員が惚れるイケメンなんてそう簡単にいないだろ だいたい顔がいいだけでいいなら世の中ダメになる 「興味無さそう」 「興味ないしな。」 「ふーん?知らないよぉ?彼女できなくても」 そんな微妙に生産性のない会話をしながら 高校の門の前に来た そこには入学式と書かれた看板と 「ねぇ、千聖……。あれ何?」 「………………。知らん」 ありえないほどの人の群れ?があった しかも全員女子? 俺と優斗は女子達と門の隙間をくぐり抜けて 何とか敷地に入ることに成功した 振り返ってみるとやはり尋常じゃない人が集まっていて、誘導の先生達も相当困っていた 聞こえてくる、「かっこいい」「やばい」 などの女子の声を聞いてか聞かずか 「あの真ん中にいるのって例のイケメン?」 「さぁ。どうだろうな」 悔しそうに頬を膨らます優斗はやはり可愛いの域を越えない でもそれにしてもこの人の量。 俺は呑気にほんとにイケメンなんだなぁと 群れの中心にいる見えないイケメン?に少しばかり興味を持っていた

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