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恋人?
奏は目を見開いてまったく動かない
かと思うと眉を寄せて俯いてしまった
「……?」
奏は俺が好きだと言った。俺も奏を好きだと言った。(正確には書いた)
つまり俺たちって相思相愛だよな!と思うと自然に顔が緩んでしまう。
そんな幸せを噛み締める俺に奏は心底辛そうに思ってもいなかったことを言ってのけた。
「ねぇ?俺がこんなんじゃなくてもさ、
今みたいな事いえると?」
びっくりしすぎて時間が止まったのかと思った
けど鳥の鳴き声が鮮明に聞こえてきている。時間は止まってはいなかった。
まさかこの流れでこんな事言われるなんて思ってなかったから一瞬声を出そうとして出ないことを思い出した。慌てて紙とペンを握る
ーはぁ?こんなんってどんなんだよ?
奏を見ると好きだと言った時とは全く違う、冷たい目をしていた。
「じゃあ千聖は俺のどこが好きなん?」
ー優しい所
「俺千聖ばあげんか風に抱いたとばい?」
ーそれでも優しかった
「どこが?」
ーどうしたんだよ?
「…………もうよか。どうせやん。」
そう言うと奏は立ち上がり部屋を出てしまった
バタンと扉が閉まる
え?なんで?
俺たち好き同士だよな?
好き同士って恋人だよな?
奏はそれから喉が痛くても食べやすい様なご飯を持ってきてくれたり、水をゆっくり飲ませてくれたり、トイレに連れて行ってくれたりしてくれたが。そこに今までの奏はいなかった。
こんなにも優しく扱われているのに、心がここにはないって思ってしまう。いや、きっとないのだろう。
ダメなのか?
酷く抱かれたとしても、ゆっくり水を飲ませてくれたり、抱っこしても揺れないように気を使ってくれたり、俺の好きなものを聞いてくれたり、俺が楽なように支えてくれたり、
そんなふうに優しいから、奏が俺を思って優しくしてくれるから…………
だから、好きって言うのじゃダメなのか?
奏は好きとか愛してるとか嘘だと言った
なら、なんで俺に好きだと言った?
信じてくれないなら、どうしてそんな事言うんだよ
嘘じゃないよ。奏が好きだよ。
好き同士なのに、恋人にはなれない…………?
じゃあ、恋人ってなんなんだよ。
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