優斗の自己紹介が終わって奏の番になり、 隣を見ると気だるそうに立ち上がる所だった 優斗がルンルンとスキップで行ってた後だからだろうか。ただでさえカッコよく見えるのに、 めちゃくちゃカッコイイ。 「村主奏。中学は九州や。よろしゅう。」 …………ん？ そ、それだけ？ 必要最低限もいいとこ、ろ。 いや、むしろ下回ってる。 女子からの質問攻めはそんな奏を知りたいと思う気持ちの表れなのか。 優斗も凄かったけど桁違いだ。 「奏君出身どこー？」 「九州のどっか」 福岡だよ 「趣味はー？」 「んー。特に。」 料理すごいけどな 「奏君、兄弟は？」 「んー？どげん見える？」 あ、それは知らない そんな感じで質問に次々答えていると、入学式で奏の隣にいた子が意を決したように言った。 「……彼女いますか？」 「いたことない」 ･･･ 「えぇーーー！！！！！！！！！！！！！！」 クラス中で驚きが 実際俺もちょっと叫んだ おまっ！嘘だろ！！！ 彼女いたことないくせに何であんなにキス上手いんだよ！！！！！！ 誰もが嘘だと口にしているのに、当の本人は飄々と立っている。 ………………。ムカつく！！ 教室中が騒ぎたし、そこで奏は席に戻ってきた さっきの言葉が信じられなくて奏を見る 当の本人は窓の外を向いてしまって我関せず状態だ。 でも、そう言えば。 俺って奏の事何も知らないんだな。 福岡のどことか、家族とか、趣味とか、 ………………か、彼女とか。 知らないって何か、つまり！ ……えっと、めっちゃ気になるって事じゃん？ まぁ、自分の番になって、好きな人は？って聞かれた時に、奏の彼女事情が気になってたから、奏見ちゃって 気になる人ならって言っちゃった。 何かこれって、俺が奏を好きみたいじゃん！！ と、後悔する羽目になるんだけど。 まぁ、知りたいのは事実だし。 知りたい＝気になる人 は、あってるだろ。 彼女＝奏 は、完全に間違っているけれど。