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自己紹介
それから千聖を支えながら学校に行った
相当負担があるらしく俺になんかかっとる千聖はきっと辛いやろうけど、これは俺がやったんやっていう罪悪感と同じくらい、これは俺がやったんやっていう高揚感があるのも事実やった。
(⚠なんかかっとる→寄りかかる)
俺には気を使って、辛い顔を見せない千聖の笑顔は痛々しい。
教室に着くと優斗?がもうおってトコトコ千聖に駆け寄ってくる
「ちさとぉ。おはよぉ?何で?」
「えっと。いや、…………んー。」
「千聖ぉ?」
「うーん、…………後で、?」
「うん!いーよぉ。」
えっと。分からん。
けど当人達は納得したらしく、優斗はニコニコと首を動かしとる。千聖もそれを見て、ありがと、と優しく言う。
千聖はこれ以上立ってるがキツいらしく自分の席に吸われる様に戻ってしまった
優斗?と2人になる
「……奏君。」
「奏でええ。」
「……奏、千聖に何かしたね?」
「……あぁ。ごめん。」
「……千聖は優しいよ」
そこまで言うて優斗は、椅子に座って窓の外を見よる千聖を見た。俺もみる。
座るのすら辛かったようで少し顔を歪めていた
「ん。分かっとる。」
「千聖は自分が傷つくより人が傷つく事を嫌がる、だから自分の気持ち我慢する」
「ん。それも分かった。」
「多分、千聖は傷ついてる……のに。」
そこまで言うて優斗は一旦やめた
「それなのに自分の方が傷ついてるみたいなそれ、凄くムカつく。」
そこで優斗を見ると優斗も俺を見とった
幼い感じの印象は今は無かった。
睨みあげる目には光がある
「なにがあったなんて知らないし、千聖はきっと言わない。…………でも千聖を傷つけるなら許さない。」
「…………。」
優斗は何も言わない俺を無視して千聖の所へ行く。
「千聖ぉ!知ってるぅ?今日ね!自己紹介があるんだってぇ!アピールしなきゃ!!」
ニコニコしながら千聖に話しかける優斗。
…………変わり身はっや。
てか、あいつら何なんやろ。
人に敏感すぎる
優斗に言われて時間止まったような気になったけど、声は途絶えんし、人は動いて、一切止まってなんかない。今、足が動くんは時が止まって無いからや。
自分も席につく。
優斗も千聖も普通で、俺も普通。
何話したかなんてよー覚えとらんけど、
自分の方が傷ついてるみたいな、か。
言われたとーりやし。
それから暫くしてまたあの女の先生が入ってきた。黒板に(自己紹介!)と書いている
…………。自己紹介か。
中身なんて必要ない癖に。
自己紹介は名前、出身中学校、好きな物などをテキトーに言っとるらしい。後は質問に答えるって感じか。内容決めとけし。
優斗の番になる
「はぃ!俺、優斗!優斗って呼んでねぇ?
南原中学出身!好きな物はんー、あ!
体動かすことぉ!よろしくねぇ?」
……………………。んー。
さっきとギャップがあるけんやろか?
…………何か、うざい。
質問になって
「彼女いますか?」「趣味は?」とか
女子が中心になって質問する
優斗はどれも答えてたけど、ところどころで女子っぽい。可愛ええ顔しとるけん尚更、男としては残念だ。本人ルンルンで気づいとるのかはビミョーやけど。
「あ、じゃあ次は」
女の先生が俺を見て言う
しゃーない。立ち上がって教台まで行く。
「村主奏。中学は九州や。よろしゅう。」
それだけ言って、女の先生を見る
「え?、あ、じゃあ、質問。 」
それから質問に何個か応えて座る
女達の喧騒も男達の嫌悪感も、イライラしか産まん。そう思いながらも千聖の番をワクワクする俺がおって。ほんとしょーもない。
千聖の番になる
立って歩いているのが一見したらやる気無さそうに見えるけどそうやないことを知っとる
辛いんやろな…………。
「……。夏目、千聖。南原中学出身。
よろしくお願いします。」
愛想の欠片も無い挨拶に笑ってしまいそうになる。女達が、カッコイイとか、クールとか、彼女いそうなんて言い出したけんむしろ険悪な顔しとったかもやけど。
「あの、夏目君って彼女いますか?」
あの女がさっき俺にも聞いた質問をする
「え、あ、いない。」
きゃーっと何人かが小声で叫ぶのが聞こえてさらにイラつく
「夏目君、部活は?」
「……バスケ部」
おい、今マネージャーなろって言った奴誰や
「夏目君好きな人いる?」
一瞬ドキリとして千聖を見る
すると目が合うて、微笑まれた気がした
「……。き、気になるひ、人なら。」
明らかに女子がガッカリしたのが分かる
同中の奴ならともかく入学2日目でここまで言ってくれるなんてほぼ無いからや。
何やろ。嬉しい。そんな風に思ってもた。
やっぱり、ほんましょーもない。
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