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そっちだって
「だいじょうぶだからぁ、っ、かなで、ズッ」
涙が出てくる。
でもそれは怖さからじゃない。
奏に好きって言って、抱きしめて貰って、それだけで幸せだった。でも奏に「抱きたい」って言われたら、応えたくなった。
最初らへんはここ数日の感覚が消えなくて怖くて震えてしまってたけど、奏は優しく優しくそっとしてくれて、頭を撫でてくれて、何か上手く言えないけど、大丈夫って思ったんだ。
「……ん。入れよか。千聖。」
「あ"っ、いっ、あっ、う、っっ、」
痛い。切れてしまった所が疼いて、力を入れたり奏が動く度にズキズキとした痛みが走る。
けど痛いなんて言えなくて、必死に目を閉じ、奏の首に捕まって顔を見られないようにする。
涙もさらに出てきて、尚更見られたくない
のに、どのくらい入ってるかは分からないけど、奏は途中で止まってしまった。
俺が力入れすぎてて痛かったかな?
首にしがみついてるから重いかな?
「……千聖、顔見せて?」
そっと力を解いて、奏に支えられながらベットに仰向けになる。
「ごめっ、重かったよね。」
そっと目元を撫でられて涙を拭われる
「千聖。痛か?辛か?怖か?
言ってよかとよ。」
痛い。辛い。怖い。確かにどれも今持っている感情なのかもしれない。体は辛いって思ってるのかもしれない。奏の事怖いって思ってるのかもしれない。考えてはなかったのに、すぐに否定出来ない自分がいる。
「……そんなこと無いよ。」
「俺な?相手に何でも差し出すんは愛や無いち思う。好きなら相手のために尽くしたいち思うけどいつか自分もきつーなるやろ?やけん、俺の前で無理せんでよかよ。千聖の事、これから大切にしたかけん。」
そこまで言うと奏は俺の中に入っていたモノを抜いて、そっと俺を抱えてお風呂場まで行った
着替えさせてもらって、リビングに行き、今は2人ならんでココアを飲んでいる。正確には奏はブラックコーヒーなんだけど。
「……奏はしなくてもいいの?」
自分でも脈絡ない事言ったなって思ったけど、奏はわかったらしくて
「んー。千聖がしたないならせんよ」
ポンポンと頭を撫でられて、すこし浮かれそうになった心を呼び戻す。
「そ、それって!!」
奏はびっくりしたらしくて目をパチクリさせてる。……少し可愛くないこともない。
「それって、奏だって俺の為に差し出してるんじゃないの?俺が嫌ならしないって俺の為に我慢してるじゃん。それは、奏が我慢してるから、いつか、その、えっと、何か無理してて、キツくなって、つまり、んっと。……」
支離滅裂になって何が言いたかったのか分からなくなった。自分の口下手が嫌になる。
奏は優しく微笑んで自分のと俺のマグカップを取ってデーブルに置いた。
「そやな。ちょっとカッコつけたこと言いたかったけど、確かに千聖の言う通りやん。
じゃあ、来月したいわ。今は千聖は怪我とか治さんとね。それにもっと千聖を知りたかし。」
ニコニコと笑う奏はやっぱり優しい。
俺の気持ちを汲んでくれて、理解してくれて、思いやってくれて、嬉しい。思わず顔がにやける。
「うん!!」
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