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憂さ晴らし

結局、奏はその日学校には来なかった。 何度メールしても電話しても返信は無くて、 今日の授業内容なんてほぼ覚えてない。 ボケっとしすぎてて数学の先生から怒られたし、奏に文句言ってやる!ってその時は息巻いてたけど今は連絡の取れない不安がより強い 優斗もなんたら先生に状況を話したら、肝心の奏が居ないからとすぐに解放されたらしい。帰ってきた時凄い勢いで問い詰めちゃって悪かったなと思う 何でも、5番がわざと俺を怪我させようとしたのがムカついて、殴ろうとしたけどキャプテンに止められたとか、そしたら奏が2階から飛んで殴ったとか、何か決めゼリフ残して俺を抱えてどっかいったとか、………… 映画かなんかの話かな?と思うくらいに意味はわからなかった。何?飛んだって何? 確かにあの5番何か変な感じだったけど、久々のバスケが楽しくて、気にしてなかった。 「千聖ぉ〜、俺たち今日も部活だけど千聖はどうする?」 「千は昨日の今日だしあんまり無理しない方がいいよ」 放課後、そんなこんなで俺は優斗と礼に部活は今日は休むと伝えて奏の家に行ってみることにした。 「…………あ、いた。」 顔を上げるとそこには制服に鞄を肩に持って、門に寄りかかっている昨日の5番がいた 頬には大きな絆創膏?とガーゼをしていて違和感が目立っていた 「あ、昨日の5番の、えっと」 「俺、窪田、よろしく~」 意外と爽やかで感じがいい 「あ、な、夏目。」 「今1人?今日あの背の高いやつは?」 背の高い。礼は深く関わってないみたいだし、……優斗なわけないし、奏かな、 「今日学校来てなくて、連絡も取れないから今から、その、行こうかなって。」 「ふーん、あ、昨日はごめんねぇ?何か険悪になっちゃったけど、多分お互いの勘違いだよ~。」 そう、だよな!?優斗が少し大袈裟に言ってるんだよな?思ったよりこの5番、窪田?も悪いやつじゃないっぽいし 「ねね!今から少し話さない?知りたくない?…………昨日の事。」 ふっと不敵な笑みに少し寒気がしたけど興味の方が勝ってしまって。 俺は着いてくことにした。 「……ここって、」 「えっとねー、前は八百屋とか魚屋とかの荷物おきがあった所なんだけどね?今はデパートに吸収されちゃって廃屋なんだよ」 何か疑問?みたいに飄々としてる窪田 そこは雨宿りくらいなら上等な、体育館くらいの倉庫だった。 でもなんでここなんだ?別にカフェじゃなきゃ嫌だなんてメルヘンでもないけど、ファミレスとかで良くないか? 「夏目……君だっけ?昨日の事知りたくてノコノコついてきたんでしょ?教えてあげるよ。でも話すとクソ長いから大事なことだけね……」 カタッと音がして振り向くと何か変なヒモみたいなのを持った男が2人がいた。 「1番大事なのは、昨日の事で俺がクソほどムカついてるってこと、なんだよね。」 3人が俺との距離を徐々に詰める。咄嗟に鞄を胸の前に持ってくる。逃げなきゃと思うのに足が竦む。 「ねぇ。憂さ晴らししよーよ」

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