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キャパオーバー

その日は、少しして帰っていいとお医者さんに言われたので奏と一緒に帰った。奏はわざわざ俺を家まで送ってくた。女子じゃないんだからいいって言っても、押しのけても着いてきたから途中で諦めたんだけど…………まぁ、内心は結構嬉しかったりする。それから、先生から電話のいっていた母さんと話して、心配してくれてた優斗や礼に返信をして結構慌ただしかったけど1日終了。 次の日。珍しく奏と一緒に行かなかった。そういえばいつもどうやって行くとか言ってもないのに一緒に来てたな。 「おはよ!千聖!あれ??奏は?」 「今日は一緒じゃない」 「ふーん、そかそか!で!?千聖大丈夫だった!?頭痛くない!?」 クリクリした目を向けられると少し恥ずかしいけど、優斗がほんとに心配してくれてたのが分かるから少し微笑んでしまった。 「うん、ありがと。」 「…………千聖、あのね!昨日、かな」 優斗が言いにくそうに口を開けた時 ピンポンパンポーンと放送を知らせる音が鳴った。どうでもいいけどピンポンパンポンって何か気が抜けるよな。 「バスケットボール部、青城孝道、桜庭優斗、それから1のB村主奏、登校していたら校長室まで来い。」 生徒指導の何とか先生の不機嫌そうな声もさることながら思わぬ名前にビックリして優斗を見ると、バツの悪そうな、なんならやっぱりみたいな顔をしていた。 皆も放送の凄みに不信感を抱いたらしく呼ばれた優斗を見たり、バスケ部と関係無い奏の名前を不振がったりしている。 ただ1部の女子はあのことでしょと分かっていてざわついていたのだけど、自分の心の方がざわつきすぎて俺は気づかなかった。 「……行ってくる。」 何も言えずに優斗を見送った後俺の頭はグルグルと回っていた。 バスケ部が呼ばれたのって俺のせいかな?とかでもなんで奏?とか待って、俺はいいの?とか俺無事なのにとか奏も試合したのかな?とかえ、あ、もしかして………… と考えが175°くらい傾いた時に礼がBクラスに来た。その顔はいつになく神妙だった。 「あ!礼!どゆこと!?何で奏も呼ばれてんの!?俺はいいの!?奏ってバスケするの!?バスケ部入るのかな!!」 肩を掴まれて質問攻めにされた礼は虚をつかれた顔をしながら、とりあえずという感じで俺の左腕を右手で掴んでポンポンと、宥めた。 「え?何の話?落ち着いて、千聖。 やっぱり知らなかったよね、あの時聞いてる風じゃ無かったし。…………実はさ、奏相手の5番殴っちゃったんだよね。」 …………は?………………どゆこと?殴った? 俺の知ってる殴ったってこう腕をこうして、ああして、あれ?これはチョップか、…… 俺にはキャパオーバーだった。 奏に会いたい。心の中では心配が闇を作り、押し寄せてきていた。

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