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知ってた?

「伊織センパイ!………俺。伊織センパイが悩んでた俺を助けてくれたの、ほんとに嬉しかった。キスしたのも、手を繋いだのも、ほんとにほんとに安心できて、」 優斗君はしばらく顔を下に向けていたけど、ふぅ、と一息はいてとんでもないことを拡声器通した!?と言わんばかりの声で言い始めた。 「ちょちょちょちょ!!!ゆ、ゆーと君!?!?」 おいおいおいおい 「だから、俺、あんまり上手く言えないけど、伊織センパイに俺のそばにいて欲しい、俺と一緒に居て欲しい、です。」 まとめたかったのに 急展開についていけない 漫画だってこんなことにはなりにくい なんたって綺麗な始まりでもなければ、まだ知ってることが多い訳でもない。 「………伊織センパイ?」 何その、可愛い顔。 少し涙を溜めた目元をカーディガンで軽く拭って、そっと唇を重ねて、しまった。 ザワザワと教室が揺れる まぁ、………いっか。 「ねぇ、優斗。知ってた?ここ2人きりじゃないんだよ?」 腕の中で目を見開いた真っ赤な顔がキョロキョロと辺りを見回す。 「あ、え、え、あ、ぎゃー!!!!!!!!!」 ははっ、と笑ってる場合じゃないけど、なんだか不変で面白みのない人生が鮮やかになるような気分だった。

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