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今の選択に突っ込め
「優斗君?」
俺は千聖にある程度、…多分全部話して助言を乞うたけど、キャパオーバーした千聖は思いのほか、……予想通り何の役にも立たなかった。
けど、
「優斗、俺はその人がどんな人か分からないし、どうしてそうなったかも分からない。ほんとに何も分からないから、そんな俺が何か言うのも変だけど、このままで良くないからそんなに焦ってるんだろ?」
本当にその通りだった。
伊織先輩とこのままで良かったら多分この心臓は早走りなんてしてないんだろう。
「だったら、もう、…、突っ込め!優斗だろ!」
……うん。…、?、ん?、
行け!!と背中を押されて俺は2年B組のドアを思い切り開けた。
つまり、おれはまだ全く!何にも!欠片も!
整理もついてなければ、なんの策も、答えも出ていない。
突っ込めって、
でも確かにうじうじするよりいくらか気が楽、かも?
突っ込め!
「い、伊織先輩、おれ、」
何か言え!俺!……………………な、に、を!?!?
「優斗君、ごめんね?」
優しくて、綺麗な伊織先輩の声。顔を見れない弱い俺は、その声に酷く安心した。怒って、ない。
冷静さが顔を見せる。
俺は、どうしたい?
伊織先輩に謝って終わり?それとも、
2択なんてそんなもんじゃない。
きっといくつもの選択肢があって、でもおれが今ここに来たことで、消えた選択肢だってあって増えた選択肢もたくさんある。
何を捨てて、何を選ぶかは、どう決めるべきなのだろうか。
「優斗君?」
決めた。今の俺は、こうしたい。
決めるのはいつだってその時の自分だ。
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