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別れよう
夕方から変やったのはわかっとる。
様子もそうだが、見た目も明らかにやつれた
ここ2、3日居なかっただけでここまでなんて、
ご飯は食べたから要らないと言って、いつも美味しそうに食べてくれるのに全く手をつけないし、話したいことがあるとうちに来たはずやのに、一向に話が聞けないので尋ねると、「あ、明日、話したい、、」と目をそらされてしまう。
早めに寝てしまったと思たら、夜中に起きて泣いとる。
「なぁ、なんでもなくないよ??千聖。何があったん??」
やっぱり、米村にバレたの気にしとるんかな?
けど、米村は多分そーゆーの言いふらすやつやないと思うんやけどな〜
「……っ、奏っ、う"っ、ヒグッ」
「ん?」
「………俺と、……ぅ、ウ"ゥ、ヒュ、ハァハァ、わか、れ、………て」
「……は?」
なんて?
「……別れ、よ、っ、ゥ"ゥ、……ハァ、ッッ……」
別れよう?
「……千聖??………、何、言うて」
「、っまって!!」
千聖は、俺の手をくぐり抜けて、ベットを降りようとする。少し強く腕をとって引き止めるけど、拒絶は目に見えて明らかやった。
「千聖!?どげんしたん???何があったか言うてくれんと納得できんやろ??」
「………、ッッ ヒグッ」
「なぁ、千聖、お願いやけん、何があったんか教えて、………、な?」
俺の知らんところで何か起きて、千聖が苦しんどる
で、千聖の中で出た答えが「別れる」って
何なん、まじで何があったん??
長い長い沈黙を千聖が破る。
「………っ、………、、、 ほ、かに好きな人が、っ、で、きた」
は????
………………他に好きな奴?
「………………………俺より、も?…」
コクリと首が動く
まるでスローモーションで、ここだけ時間が遅くなったようや
「……………………………………いつ?」
「……………………………………」
「ここ2日くらいで?」
「……っ、………………ク"ッ……」
「…………なんそれ、ビッチやん」
「っ!?!?」
バッ!!!っと千聖が振り返った。
目は涙で真っ赤で見開かれ、口は痙攣をしながらパクパクと弱く動いている。
顔は驚愕と絶望が複雑に織り交ぜられていた。
「ぁ、ちがっ、……千さ、」
バンと腕を振りほどいた千聖は上着とカバンを掴んで駆けて行く。
バタンッッ!!!!!!
違う、あんなことが言いたいんやなかったんに。
追いかけんといかんのに、何故か、足も腕も、視線でさえ動かんかった。
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